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マイクロサービスを基幹システムへ適用可能にする“あるテクノロジー”とは

ITRは、DXやビジネスイノベーションに特に有効なITアーキテクチャの一つ、「マイクロサービス」に関して「大企業での採用状況」と「基幹系アプリケーションに適用する方法」を発表した。

» 2023年04月21日 07時00分 公開
[大島広嵩キーマンズネット]

 独立系ITコンサルティング、調査会社であるアイ・ティ・アール(以下、ITR)は、DX(デジタルトランスフォーメーション)やビジネスイノベーションに有効なITアーキテクチャ、「マイクロサービス」に関して「大企業での採用状況」と「基幹系アプリケーションに適用する方法」を発表した。マイクロサービスを基幹系アプリケーションに適用可能にする“あるテクノロジー”とは。

マイクロサービスの採用状況

 クラウドネイティブアプリケーションは、DXや新規ビジネスに重要な役割を担っている。マイクロサービスアーキテクチャを採用することで、ビジネスアイデアの有効性の検証とブラッシュアップを、小さな単位で迅速に繰り返したり、先進テクノロジーをアプリケーションに組み込んだりできるようになり、クラウドネイティブアプリケーションを実現することにつながる。

 ITRが2023年1月、売上高500億以上の企業を対象に実施した「クラウドネイティブアプリケーションおよびマイクロサービスに関する調査」では、「マイクロサービスはすでに稼働中」の回答は22%、「マイクロサービスは稼働準備中」の回答は23%だった(図1)。

オンプレミスからクラウド移行時のマイクロサービスの検討、採用状況(出典:ITRのプレスリリース)

基幹系アプリケーションでマイクロサービスを実現するには

 ITRは「DXやビジネスイノベーションに最も有効なITアーキテクチャといえるマイクロサービスの価値を真に活用するため、その適用範囲を既存の基幹系アプリケーションに拡大し、その一部に適用することから開始することを推奨します」としている。

 従来は、基幹系システムにおいて重要な「データの一貫性」の担保がマイクロサービスでは困難だった。しかし現在、データの一貫性を可能にする「分散トランザクションマネジャー」といったテクノロジーや製品が市場に登場している。マイクロサービスごとに分散したデータベースとアプリケーションの中間に分散トランザクションマネジャーを配置することで、データの一貫性の問題を解消できる。ITRは「分散トランザクションマネジャーの採用によって、基幹系システムへのマイクロサービスの適用が加速する」と予測する。

 ITRの甲元宏明氏(プリンシパル・アナリスト)は、「これからマイクロサービスの取り組みを開始する企業は、その価値を社内に十分周知させるために、分散トランザクションマネジャーのような先進テクノロジーや製品を活用し、基幹系アプリケーションでも大きな価値をもたらすマイクロサービス『エンタープライズ・マイクロサービス』を実現し、マイクロサービスによるアジリティーの向上や運用コストの削減といった成果を短期間で示すことが重要です」と述べた。

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