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従業員満足度が過去15倍の速度で低下中 一番不幸な業界は?

人事系サービスを提供するBambooHRの調査によると、従業員満足度は着実に低下している。従業員を苦しめる「大憂鬱時代」の全貌と、その打開策とは。

» 2023年10月03日 07時00分 公開
[Carolyn CristHR Dive]
HR Dive

 BambooHRが2023年8月29日に発表した報告書によると、2020年以降、従業員満足度は着実に低下しており、落ち込みは過去最大の状況だ(注1)。

 全体満足度は2022年6月から2023年6月にかけて11%低下し、過去2年間の合計よりも約15倍の速度で低下するなど、「大憂鬱時代」を迎えているという。

 従業員を苦しめるものはいったい何なのか。そして、一番“不幸な”業界とは。

不幸な従業員が増え続ける理由と打開策

 BambooHRのCEOであるブラッド・レンシャー氏は声明で、「前例のない状況が、大きなストレスを引き起こしている」と述べ、次のように続けた(注2)。

 「近年の複雑な問題に立ち向かうためには、リーダーには積極性と適応力、データに基づいたアプローチが求められている。急速に進化する世界で成功するために、企業は従業員の経験をかつてないほど優先する必要がある」(レンシャー氏)

 BambooHRは、8つの主要産業で活動する5万7000人以上の世界の従業員から収集した情報に基づいて満足度を分析した。この評価は原則として、自身の組織を他者にどれだけ勧めたいかを数値化した「従業員ネットプロモータースコア」に基づいている。

 最も不幸だったのは、パンデミックの影響を大きく受けた医療業界と教育業界だった。医療業界の従業員の幸福度は、2020年6月から2023年6月の間で32%低下し、その半分は2023年に発生している。教育業界では、2022年6月から2023年6月の間に幸福度が5%低下し、過去2年間に比べて2倍の速さだった。

 非営利団体と旅行業界、ホスピタリティー業界では、2023年に幸福度がわずかに上昇したが、全体としてはまだ低い水準だ。レストランおよび飲食業界の幸福度は2020年6月以降31%低下し、回復の兆しはほとんど見られない。

 テクノロジー業界の幸福度は劇的に低下し、2023年は前年に比べて約3.5倍の速度で低下している。金融業界における幸福度は急激な低下こそ見せていないものの、レイオフや銀行の閉鎖、利用可能資本の減少に反応して、変動幅が大きくなった。

 建設業界は、高い需要が雇用の安定と賃金の上昇を生み出しているため、現時点で最も幸福度が高いようだ。平均幸福度は2023年を通して安定している。

 従業員のエンゲージメントが低下傾向にある中(注3)、人事担当者はリーダーや管理職と協力して明確な目標について話し合い、評価を与え、週ごとに従業員と有意義な会話をすることで、従業員を支援できる。

 2023年初旬の報告によると、従業員のエンゲージメントに関する意見の相違が幹部と従業員の間で広がっている。一方で、生産性と利益を向上させている企業は(注4)、従業員の機動性やスキル、多様性、公平さ、インクルージョンへの取り組みに焦点を当てているようだ。また、従業員の意見に耳を傾け、生計を立てるための給与を支払い、柔軟な勤務体制を提供し、研修とキャリア開発のためのプログラムを提供することも重要だ。

 「最終的に、雇用主は従業員のエンゲージメントの意味を考え直す必要があるだろう」と人事コンサルタントは指摘している(注5)。従業員の強みや目標を重視する戦略は、表彰や無料の食事などの特典よりも効果的である傾向がある。

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