“ある能力”を持つリーダーが存在する職場で働けるなら、従業員は「11%の減給もいとわない」という。人々が給料よりも大切と考えるものとは。
調査によると、4人に3人のビジネスリーダーが「“ある能力”に基づくリーダーシップが、今後成功する唯一の方法」と回答した。また、そのようなリーダーが存在する職場で働けるなら、従業員は「11%の減給もいとわない」という。
仕事の性質が変化し続ける中で、人々が給料よりも大切と考えるものはいったい何なのだろうか。
HPが2023年9月20日に発表した報告書、「Work Relationship Index」によると(注1)、リーダーと従業員の信頼と感情的なつながりは、従業員を惹き付け維持する上で重要な役割を果たしているという。
従業員は「共感力に富み、自分の感情をコントロールでき、他者の感情を思いやれる(エモーショナル・インテリジェンス)リーダーのいる企業で働きたい」と考えており、そのような仕事のためなら減給もいとわないとのことだ。
報告書によると、世界中の従業員の大多数が仕事と不健全な関係にある。知識労働者の80%以上が「職場でより幸せになるためなら収入が減っても構わない」と答えている。
HPの社長兼CEO(最高経営責任者)であるエンリケ・ロレス氏は「人々にとってもビジネスにとっても“良い方法”で、人と仕事の関係を強化する大きなチャンスがある」と述べた(注2)。
ロレス氏は次のようにも述べている。
「リーダーは、生産性のために幸福を犠牲にするような選択を常に拒否しなければならない。最も成功した企業は、従業員が仕事以外でも活躍しながら、優れたキャリアを構築できる文化を築いている」
12カ国でさまざまな業界の1万5600人以上に実施された調査によると、知識労働者の73%が「仕事との関係が不健康だ」と回答した。
報告書によると、従業員が仕事との関係に満足していない場合、それは企業の損害につながりかねない。従業員は、「生産性の低下」「仕事への関与の低下」「孤立感」を報告している。離職率ついては、仕事との関係に中立的な感情を抱いている従業員のうち71%以上が企業を去ることを検討し、不満を抱いている場合はその割合が91%に増加する。
報告書によると、ほぼ4人に3人のビジネスリーダーが「エモーショナル・インテリジェンスに基づくリーダーシップが、今後成功する唯一の方法」と認識している。しかし、従業員は「リーダーはそれを十分に認識していない」と述べている。実際、83%の従業員が「エモーショナル・インテリジェンスや信頼、主体性を重視する雇用主を見つけるためなら、収入が減っても構わない」と述べた。
さらに、知識労働者は「強力な職場文化を重視し、共感力に富み、エモーショナル・インテリジェンスに基づくリーダーシップが存在し、従業員のエンゲージメントと充実感が平均以上の職場で働くためなら、11%の減給もいとわない」と答えた。また、「好きな場所で好きな時間に働けるフレキシビリティーのためなら、給与の13%を差し出す」と回答している。
報告書によると、仕事との健全な関係に寄与する要素は6つ存在する。それは、「充実感」「リーダーシップ」「人間を中心にした考え方」「スキル」「ツール」「ワークスペース」だ。従業員は職場でより大きな「目的感」「エンパワーメント」「本物のつながり」を求めている。雇用主は発言力と主体性の向上、スキル開発とトレーニング、優れたハイブリッドワーク体験への注力を通じて、これを促進できる。
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