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採用面接で“モンスター求職者”が大量発生 どう対応するのが正解?

採用活動で企業に感じた不満をレビュー投稿したり、プライベートで顧客になることを拒否したりする“モンスター求職者”が増えている。企業はどう対応すべきか。

» 2023年11月13日 07時00分 公開
[Jen A. MillerHR Dive]
HR Dive

 多くの求職者が企業の採用プロセスに不満を募らせている。求職者によっては、採用活動で企業に感じた不満をレビュー投稿したり、プライベートで顧客になることを拒否したりする。

求職者が企業に不満を抱えるワケ

 企業への不満を行動に移す“モンスター求職者”に対して、どう対応するのが正解なのか。

 多くの不満は、プロセスの中で連絡が不足していたり、全く連絡がなかったりすることに起因している。リーダーシップに関するトレーニングを提供するHuman Capital Instituteによると(注1)、求職者の75%は応募後に雇用主から連絡を受けておらず、60%は面接後に雇用主からの連絡が途絶えるという。つまり、求職者は一向に来ない連絡を待ち続ける可能性があり、そのせいで一生その企業を否定的に捉えてしまう可能性があるのだ。

 人事マネジャーが全面的に悪いわけではない。求職者向けに面接対策サービスを提供するInterview Success Formulaによると(注2)、各求人には平均118件の応募があり、それら全てを選別するには時間がかかるためだ。

 その過程で優秀な求職者を逃さないために、企業にできることは次の通りだ。

面倒な応募プロセスを省略する

 2023年のTalent Experience Reportにおいて(注3)、人材クラウド企業であるiCIMSは、求職プロセスには依然として重大な問題があり、優秀な求職者のみならず顧客に関連する損失を企業に与える恐れがあることを発見した。

 調査対象者のうち43%の就活生が「前回の就職活動はストレスがかかり、長かった」と回答し、72%は「応募プロセスを3週間以内に完了してくれることを期待している」と述べた。

 求職者はこれらの不満を遠慮なく主張する。回答者の18%は「面接で不快な思いをした場合、『Glassdoor』にレビューを投稿する」と答え、14%は「応募で不快な思いをした場合にレビューを投稿する」と答えている。iCIMSの報告によると、求職者の36%はGlassdoorのレビューを、将来の雇用主に関する正確な情報源と考えているため、ネガティブなレビューは企業にとって問題だ。

 また、56%の求職者は、応募先の企業で不快な体験をした場合、その企業の顧客になる可能性が低いことをiCIMSは明らかにした。

 iCIMSの最高人事責任者であるローラ・コッカロ氏は「求職者のこれらの経験が企業の収益に影響を与える可能性があると、私たちは以前から予想していた」と語った。

 応募のプロセスにも時間がかかり、それが不満を助長する場合もある。人事コンサルティング企業であるThe Josh Bersinの最近の報告書によると(注4)、採用には平均で44日かかり、2022年の43日よりも長くなっている。一部の求人は3カ月以上も採用が進まないことがある。同社のCEOであるジョシュ・バーシン氏は「優秀な求職者は、この長いプロセスを待たないだろう」と述べたる。

解決策はテクノロジーや人々の中にある

 どのような採用プロセスにおいても、最新の情報を求職者に提供すべきだ。それは、応募に対する採用担当者からのお礼の電子メールであったり、応募職種によっては自動返信メールやテキストであったりする。

 「求職者を放置してはいけない」とコッカロ氏は述べた。応募を確認し、プロセスのさまざまなタッチポイントで最新情報を伝えるだけでも大きな違いが生まれる。

 企業はこれらのタッチポイントを利用して、ビデオなど企業に関するコンテンツを含む最新情報を求職者に送ることができる。それを受けて、求職者は希望の職場についてより詳しく学ぶことができる。

 これはテクノロジーとプロセスの自動化により実現できる。仕事の種類によっては、同じ技術をプロセス内でより大きな役割を果たすために活用したり、ほぼ完全な自動化を実現できたりする。

 バーシン氏は、McDonaldのAI活用人材採用プラットフォーム「McHire」の成功を取り上げた。イギリスとアイルランドの1450の拠点にMcHireを導入したところ(注5)、採用までの時間が約65%短縮され、これらの拠点では応募数が20%増加した。

 しかし、人材が不足している地域における多くの職種では、人による対応が重要になる。特に、今募集している職種には合わないかもしれないが、将来別の職種に就く可能性のある求職者には人によるアプローチが重要だ。「これは大きな違いを生む。リクルーターが全くいなかったり、不足していたりする場合、またはパートタイムの人事マネジャーが他に50の業務を抱えながらリクルーターとしての活動している場合、アプローチのための十分な時間が取れない」とバーシン氏は述べた。

 さらに、バーシン氏は次のように付け加えた。

 「企業は苦労してリソース不足の問題を学ぶ。少ないリソースで対応しようとする企業が辿り着く結末は2つだ。適切な人材を採用できないか、誤った人材を採用してしまうかである」

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