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Microsoft Dynamics 365を選ぶべき理由とは? メリット5つを解説

Dynamics 365はデータのサイロ化の排除や意思決定の改善、ワークフローの自動化を支援する。

» 2023年12月26日 08時00分 公開
[Robert PeledieTechTarget]

 変化の激しいビジネス環境において、企業は顧客体験(CX)と従業員の効率性を高める方法を常に模索している。「Microsoft Azure」(以下、Azure)に構築された「Microsoft Dynamics 365」(以下、Dynamics 365)はこの点で多くの企業を支援してきた。

 CRMやERPの領域で、数十年の経験を持つMicrosoftは、市場の変化に適応して業務を合理化し、ビジネスの成長を促進することを目的にDynamics 365を設計した。小売や製造、ヘルスケア、金融まで、さまざまな業界に対応する汎用(はんよう)性を持ち、企業経営に利益をもたらすとして注目が集まっている。

Dynamics 365が自社に合うかどうか見極める方法

 Dynamics 365は「Customer Service」「Sales」「Marketing」「Finance」「Project Operations」などのビジネスアプリケーション群で構成され、それぞれが特定のビジネスニーズに対応する。モジュール式のため、ユーザーは必要なアプリから使い始め、企業の成長に合わせて追加することも可能だ。

 導入時に大規模なカスタマイズなどをせずに利用できるが、仮にカスタマイズが必要な場合は設定や開発のオプションが用意されている。例えばコーディングの経験がないユーザーでも、ワークフローやユーザーロール、データフィールドを設定できる。

 より高度なカスタマイズが必要な場合は、用意されているAPIとSDKを利用してカスタムモジュールの作成やサードパーティーアプリの統合、新機能の構築ができる。

 ローコード開発のための「Microsoft Power Apps」(以下、Power Apps)や、ワークフロー自動化のための「Microsoft Power Automate」(以下、Power Automate)、高度な分析のための「Microsoft Power BI」(以下、Power BI)なども統合されている。これにより、企業はそれぞれの要件に合わせてDynamics 365の機能を拡張できる。

Dynamics 365が持つ5つの利点

 Dynamics 365が自社のニーズに合うかどうかを判断するために、ビジネスリーダーは以下の点を理解すべきだ。

1.ビジネスアプリの一元化

 Dynamics 365を導入すれば、ビジネスアプリを一元化できる。例えば「Dynamics 365 Commerce」は、「Microsoft Teams」(以下、Teams)、「LinkedIn」「Microsoft Bing」などのツールと統合されており、CXチームはDynamics 365から直接、顧客との過去のやりとりなどを確認できる。

 また、CRMやERP、eコマースプラットフォームを統合し、顧客データや在庫量、販売に関する指標を容易に確認できる。これによって、ワークフローの改善やインサイトの獲得を実現する。

 さらに「Microsoft SharePoint」や「Microsoft OneDrive」など、他のMicrosoft製品とも統合されているため、データへのアクセスやコラボレーションも強化できる。Power AppsやPower Automateを使用してDynamics 365にカスタム機能を追加することも可能だ。

2.リモートアクセス

 テレワークに対応するため、Dynamics 365は「Microsoft Outlook」とTeamsを通じたリモートアクセスを提供している。ユーザーはどこにいても、プロジェクトでのコラボレーションや顧客データへのアクセス、プロジェクト状況の更新ができる。

 また、SalesやCustomer Service、Field Service、Finance、Supply Chain Managementなど、さまざまなツールのモバイルアクセスも提供している。モバイルアクセスはフィールドサービスチームにとって特に有益だ。「Dynamics 365 Field Service」にモバイルからアクセスすれば、技術者は作業の状況をリアルタイムで更新できる。Microsoftは2024年1月、既存のDynamics 365用モバイルアプリを全てPower Appsに移行する予定だ。

3.意思決定の改善

 Dynamics 365はPower BIとの統合によって、生産効率や在庫量などを監視するための分析とリアルタイムデータを提供している。ビジネスリーダーは戦略を素早く調整でき、コスト削減や売上増加につながる。

 また「Dynamics 365 Customer Insights」には、顧客の行動や嗜好(しこう)を理解するためのデータ分析レイヤーも用意されている。さらに「Dynamics 365 Finance」には、収益の監視に役立つ分析ツールが搭載されている。

4.ワークフローの自動化

 企業間の競争が激化する中で、業務の自動化は不可欠だ。Dynamics 365はPower Automateや組み込み型のワークフロー、ビジネスルール、ビジネスプロセスフローなど多くの自動化機能を提供している。これによって、企業はデータ入力や顧客対応など、多岐にわたるプロセスを自動化できる。従業員の時間を節約できるだけでなく、人的ミスのリスクを最小限に抑えられる。

 また、ユーザーは特定のビジネスニーズに合わせたカスタム自動化ツールを作成できる。例えば「Dynamics 365 Sales」で販売プロセスのカスタム自動化ツールを作成したり、「Dynamics 365 Customer Service」でコンタクトセンターの業務を合理化したりできる。

5.セキュリティとコンプライアンスの強化

 全ての企業はセキュリティとコンプライアンスを考慮しなければならない。MicrosoftはAzureにDynamics 365を構築しており、Azureは多要素認証やID、アクセス管理などさまざまなセキュリティ機能を備えるクラウド環境だ。Dynamics 365は業界標準や規制、コンプライアンスに沿っているため、企業は機密データを保護しながら規制上の要件を満たせる。

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