メディア

2032年までに生成AIに仕事を奪われる職種 今からできることは?

生成AIは多くの仕事や経済成長へのアプローチを変えると予想され、高度な知識を要する仕事ほどその影響を受けると考えられている。企業は将来に向けてどのような取り組みに注力すべきだろうか。

» 2024年02月22日 07時00分 公開
[Laurel KalserHR Dive]
HR Dive

 生成AIは多くの仕事や経済成長へのアプローチを変えると予想されている。高度な知識を要する仕事ほどその影響を受けると考えられ、中には業務の80%が生成AIに代替されると予想される職種もあるという。

 今、快適に働けているからといって生成AIを甘く見てはいけない。生成AIに取って代わられるスキルとはどのようなものか。そして、企業は将来に向けてどのような取り組みに注力すべきだろうか。

生成AIに仕事を奪われる職種は?

 テクノロジーアドバイザリー企業であるCognizantとOxford Economicsの分析によると、生成AIは2032年までに仕事や生産性、経済成長へのアプローチ方法を大きく変化させるという。生成AIがタスクの自動化に統合されることで、全ての仕事の52%が大幅に変わると予測されている(注1)。

 その結果、米国労働人口の約9%が離職する可能性があり、離職した従業員の1%が再就職に苦労する可能性があることが、2024年1月10日に発表された研究は示している。

 生成AIによってトレンドは逆転した。これまでテクノロジーの進歩と自動化は、手作業やプロセス中心の知識労働に大きな影響を与えていた。しかし本調査によると、高度な知識を要する仕事が最も影響を受ける可能性があるという。

 既に信用分析やプログラミング、Web開発、データベース管理、グラフィックデザインに関わる仕事は「理論上の最大露出」を示すスコアが50%であり、これは、仕事の半分が生成AIによって完全に自動化される可能性があることを意味している。テクノロジーが進歩する2032年までには、このスコアが80%に達する仕事も出てくるかもしれない。

 Cognizantによると、生成AIの可能性を最大限に引き出すには、企業はテクノロジーを信頼し、従業員との信頼関係を強化する必要があるという。また、雇用主はそれに対応する強固な再スキルアッププログラムの構築に注力する必要があるかもしれない。

CEOの役割の最大25%がAIに代替 従業員が望む取り組みは

 職場で最も鍛えられているスキルは適応力かもしれない。これは、マネジャーや直属の部下、人事の専門家、ビジネスリーダーが仕事の進め方における終わりのない変化に迅速に適応する能力である。生成AIの利用が増えたことで、このスキルの必要性が明白になった。

 Cognizantの調査によると、この1年間で組織は画像作成や、電子メールやレポートのテキスト生成、開発者へのコード提案などで管理可能な範囲でリスクの低いタスクに生成AIを暫定的に使用してきた。Boston Consulting Group(BCG)の2024年1月11日の報告書でも、CEOが慎重になっていることが指摘されている(注2)。約10人に9人が「この技術が過剰に宣伝された状態から、現実のものになるのを待っているか、限定的な方法で実験している」と回答した。

 BCGのCEOは、「このような反応はテクノロジーの変化に対して一般的だ。しかし、生成AIの場合、大規模に前進する企業が優位に立つだろう」と指摘した。

 Cognizantの調査結果は緊急性を強調している。今後3年間で、組織はビジネスモデルやオペレーティングモデルの大幅な見直しに取り組まなければならなくなるだろう。なぜならば、2026年までに、さまざまな職種で生成AIの役割が広がるためだ。

 CEOを含む経営層も無縁ではない。報告書によると、コスト削減やプログラム改善、方針変更など、長い間、上級管理職の権限と考えられてきた分野における「自動化の可能性」が大幅に高まると予測されている。CEOは、報告書の見直しや業務分析から、競争力の評価や戦略的な意思決定まで、あらゆる場面でAIを活用するようになる。そのため、CEOの役割の最大25%がAIに代替する可能性がある。

 グローバルに人事アドバイザリーサービスを提供しているMcLean & Co.の最近の調査によると、人事担当者はこの移行において重要な役割を担っている(注3)。特に人事は、生成AIが人材に与える影響に対処する戦略的な取り組みを率先して開発する必要があるためだ。同社によると、これにはタスクを自動化するための戦略の開発や調整、役割の再構築、組織のニーズの変化に対応した人材要件の調整が含まれる。

 多くの従業員がこの技術対して複雑な感情を表明しており、「職を奪われることへの不安(注4)」や「AIの倫理的な使い方が分からないことへの不安(注5)」「法的リスクやサイバーセキュリティリスクへの不安」に言及している。一方で、AIに前向きで、業務がより効率的になり、より価値の高い仕事に集中できることに価値を見出している側面もある。

 しかし共通の意見として、従業員はリーダーからのさらなる指導を望んでいる(注6)。企業はレイオフが起こらないという保証はできない。しかし、全ての組織は新世代のリスキリングプログラムを展開できる。このプログラムは、高等教育機関との提携や政策立案者、政府関係者、規制当局、業界全体との協力など、さまざまな形態をとることができると報告書は指摘した。

© Industry Dive. All rights reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。