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ERPはMRPから生まれた それでもMRPを使う意味(2/2 ページ)

» 2024年02月27日 08時00分 公開
[Dave TurbideTechTarget]
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ERPの現在、そして未来

 ERPには最新のツールやテクノロジーが絶えず追加されている。それに対して、MRPの開発者が力を注ぐのは、確かな技術を使って既存の機能性を維持し、高めることだ。高度化に上限があるということは中小企業にはメリットともいえる。MRPであればすぐに導入できる。コストも安く、メンテナンスやサポートも容易だ。

 ERPの世界では近年さまざまな発展が起きている。例えば、高機能の経営情報ツール(BIやデータマイニング、予測分析など)。機械学習を含めたAI(人工知能)、シミュレーションを使った高度な計画ツール。インダストリアルIoTセンサーや位置認識型トラッキング/モニタリングデバイスを用いた、世界規模のサプライチェーンモニタリング/マネジメントへのこれらツールの適用。グローバルアクセスや、パートナーやリソースとの接続性、無制限のスケーラビリティ、産業グレードのセキュリティのためのクラウドベースシステムなどだ。

 現在のERPの多くはクラウドベースのシステムとして開発されており、ほとんどがオプションの一つとしてクラウドデプロイメントを提供している。最も柔軟性に富み、簡単に導入でき、スケーラビリティが高いERPと考えられているのが、クラウドERPだ。クラウドERPであれば、設備投資を追加したり古くなった設備や不必要な設備を廃棄したりしなくても、データベースサイズやユーザー数、処理負荷をいくらでも増減できる。

ERPの特徴

 ERPは一般に、特定のビジネスプロセスを処理するモジュールで構成されている。モジュール方式がこのシステムの特別な強みであるのは、企業は必要なモジュールだけを実装することによって、自社のニーズに合うようにシステムを自由にカスタマイズできるからだ。ニーズの変化に合わせて後からモジュールを追加できるし、不要になれば削除も可能だ。

 ほとんどのERPには、システムの完成度を高めてくれるモジュールがすでに追加されているか、最終的には追加されることになる。例えば、人的資本管理(HCM) やサプライチェーン計画、サプライチェーン管理などがそうだ。また、こうしたモジュールは、フィールドサービス管理やディープクオリティー管理、高機能スケジューリング、有限スケジューリングといった、必ずしも全ての企業が必要とするわけではないビジネス機能もサポートしている。

 こうしたオプションモジュールを好きなように組み合わせられるからこそ、それがプロセス製造業であれ、非製造業であれ、その産業に合うようにシステムをカスタマイズできる。例えば、会計事務所やコンサルティング会社なら、資材計画や生産スケジューリング、在庫管理は必要ないだろう。反対に必要なのは、スケジュール管理や文書管理、請求書の作成、HCM、経理全般のはずだ。

MRPのメリット

 MRPがERPスイートの中の機能群の一つであることを踏まえていえば、MRPはシステムのバックボーンだ。これが、質の高い製品を顧客に予定通りに納品するという大きな目標を企業に達成させるべく、その製造事業全体を束ねている。マスタースケジューリングと併用すれば、MRPが需要計画(予測と注文)を生産や調達、リソース管理といった具体的なタスクに変換する。あとは、システム内のその他のモジュールがこれらタスクの実行を追跡、管理する。

 そのため、MRPが直接貢献するのは次のような業務だ。

  • 生産、サプライチェーン管理の効率向上
  • カスタマーサービスの質の向上
  • 利用できるリソースのより効果的な活用
  • コスト削減

ERPのメリット

 ERPの主な目的は、以下の通りだ。

  • 情報の収集と管理
  • その情報を必要とする社内の部署で利用できるようにすること
  • 意思決定をサポートするさまざまな計算および分析の実行

 ERPの基本はその企業の運営をモデル化することだ。そのため、ERPは事業の機能分野における活動と意思決定の因果関係に深い理解を促し、事業活動の効果と効率を高めることができる。

 「情報は力なり」といわれて久しいが、今日のビジネス界で何より重要なのは情報の管理と活用だ。ERPは規模が肥大化した企業全体にわたって、そのさまざまな機能を束ねて、企業の活動と意思決定を調整し、最終目標の達成に企業の意識を集中させる。その最終目標とは、最も経済的な方法で顧客に製品やサービスを提供することによって利益を生み出すことだ。

 真に問いかけるべきは「ERPのメリットとは何か?」ではない。「ERPが提供する情報と意思決定支援機能の管理なくして、現代の企業に効果的な運営を期待することなどできるだろうか?」なのだ。

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