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ジョブズの血を引くAppleは、やっぱりパクリの天才だった?:784th Lap

Appleが開催するWWDCは、毎年世界中の人々が注目する一大イベントだ。WWDC 2024では「Apple Vision Pro」の国内販売開始やパーソナルAI「Apple Intelligence」に加えて、幾つかの新機能や新アプリなどが発表された。今、それらが問題になっている。

» 2024年06月28日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 2024年6月10日(現地時間)、Appleはカリフォルニア州クパチーノで年次イベント「Worldwide Developer Conference 2024」(WWDC 2024)を開催した。今回のWWDCでは2024年6月28日に「Apple Vision Pro」を国内で販売開始することに加えて、AppleのAI施策や最新のOS情報などが発表された。激しいAI競争の中で、出遅れたAppleもいよいよ参入というわけだ。

 AppleがWWDC 2024で発表したものが、今、問題になっている。Appleは何をしでかしたのか?

 AppleはWWDC 2024で「iPhone」や「iPad」「Mac」で使えるパーソナルAI「Apple Intelligence」と、「iOS 18」「iPadOS 18」「macOS Sequoia」「watchOS 11」といった最新OSの新機能を発表した。

 最新OSの新機能に対して「すでに存在するアプリを参考にし過ぎている」、つまり「パクっている」との指摘が多くの海外メディアから寄せられた。Tech系情報サイト「TechCrunch」は、この件に関する記事を2024年6月12日に掲載した。記事では、Appleのパクリ行為を「Sherlock」と表現している。

 Sherlockとは、サードパーティー製のアプリで使われていた機能をAppleがOSの新機能として統合することを意味する表現だ。名称は「macOS」の検索機能「Spotlight」の前身とも言える「Sherlock」という検索ツールに由来する。

 1990年代の後半に、Appleは「Mac OS 8.5」にSherlockを実装した。するとサードパーティーの開発者がSherlockを補完するアプリ「Watson」を開発し、より便利な検索ツールとして提供し始めた。するとAppleは次のOSアップデートで、しれっとWatsonが提供していた機能をSherlockに取り込んた。これがパクリ行為をSherlockと呼ぶ理由だ。

 今回のWWDC 2024での発表でも、数多くのSherlock行為が指摘された。

 1つ目が新しい「パスワード」アプリだ。Appleはユーザーのパスワードを安全に管理するアプリをリリースした。これが「1Password」「LastPass」「BitWarden」「Proton Pass」の機能を統合したものではないかと指摘された。Sherlockされたアプリは「Android」「Windows」「Linux」など複数のOSで動作することから、Appleデバイスのみで動作する新パスワードアプリよりも便利だという声もある。

 2つ目は「音声文字起こし」機能だ。通話アプリやメモアプリに音声文字起こし機能が統合され、音声を容易にテキスト化できるようになった。これらでは「Otter」「AudioPen」「Voicenotes.com」らがSherlockedアプリだと言われている。

 3つ目は「iPhoneミラーリング」機能だ。これは「macOS Sequoia」でiPhoneの画面をワイヤレスでミラーリング表示する機能だ。ただ表示するだけでなくiPhoneの遠隔操作も可能だ。iPhoneに保存された写真データなどをドラッグ&ドロップでMacに移動できる。

 このSherlockアプリとされているのが「Bezel」だ。Bezelは機能を利用するためには有線接続が必要になるが、機能自体はほぼ同じだ。Bezelの開発者のMathijs Kadijk氏は「X」(旧Twitter)で「Bezelにも同様の機能を実装する予定だった」と投稿した。「Bezelをさらに成長させることを検討するのが楽しみ」と前向きな発言をしているが、「興奮すると同時に、悲しい気持ちにもなる」とも語っている。

 この他にも、AIによってオリジナルの絵文字を作成できる「Genmoji」機能は「Newji」から、マップアプリの機能アップは「Alltrails」から、文章の校正、要約機能は「Grammarly」から……とさまざまな新機能や新アプリが“Sherlockだ”と指摘された。iPadの電卓アプリも「PCalc」「Soulver」からSherlockされた、とされている。

 TechCrunchの記事には「AppleによるこれらのSherlock行為があったとしても、開発者はさらなる新機能を追加したり使いやすくしたりすることで自身のアプリの地位を確保するだろう」と希望的観測が述べられている。その一方で、「Appleはバランスを取るべきだ」との指摘もある。OSの機能を向上させてGoogleやMicrosoftに後れを取りたくないというAppleの考えも理解できるが、サードパーティーのアプリを駆逐することで「Apple Store」からの収益が得られなくなるようではダメだという声もある。

 Appleがパクリ……ではなくSherlockすることで、確かにユーザーは便利にApple製品を使えるようになるだろう。だが、それによってサードパーティーの開発者が萎縮し、便利なアプリが登場しなくなっては元も子もない。果たして2025年のWWDCではどのようになるやら。


上司X

上司X: Appleが6月に開催したWWDC 2024で新機能を発表したけどパクりらしいよ、という話だ。


ブラックピット

ブラックピット: パクリというか、ヨソのアプリが提供してきた機能の統合ってことですね。


上司X

上司X: まあ、そうだけど。それがSherlockてことだ。


ブラックピット

ブラックピット: 「Sherlock」「Sherlocking」「Sherlocked」って単語はちょいちょい目にしてましたけど、そんな言われがあったとは。


上司X

上司X: 検索ツールのSherlockは、1998年のMac OS 8.5に搭載されたんだ。その頃はOSがパッケージで販売されていたからね。


ブラックピット

ブラックピット: はいはい……、時差の関係で世界最速で販売解禁されたのがアキバだったんですよね。いやあ、すごいすごい。


上司X

上司X: そうそう。深夜0時にT-ZONEアップル館に並んだりしてなって、なんで棒読みなんだよ。


ブラックピット

ブラックピット: 思い出話はどうでもいいですけど、その歴史あるパクり……じゃなくてSherlock行為はこれからも続くんでしょうかね。


上司X

上司X: 続くだろうな。Appleはとにかくデバイスの使い勝手を良くするためにOSの標準機能を強化してきた。ユーザーにとって都合はいいだろうが、それで開発者の意欲が削がれるようなことがないといいけどな。さて、2025年はどうなることか……。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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