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GMOインターネット、生成AIで67万時間削減 業務効率化に最適な言語モデルとは

多様な言語モデルを活用して、GMOインターネットはグループ全体で67万時間の業務時間の削減を実現した。同社は従業員に対して生成AIの活用状況に関する調査を実施した。

» 2024年07月08日 15時20分 公開
[岡垣智之キーマンズネット]

 GMOインターネットはグループを挙げて生成AIの活用に取り組んでいる。その結果、グループ全体で月間約13万2000時間、2024年上半期でみると約67万時間の業務時間の削減につながった。

 同社はグループの従業員(正社員、契約社員、アルバイト、派遣社員、業務委託)6312人を対象に業務における生成AI活用の実態調査を実施した(2024年6月10日〜14日)。業務で活用した大規模言語モデルや効果的だった活用法、生成AIが不向きな業務など、その調査結果を紹介する。

GMO社員が使って分かった、業務効率化に最適な言語モデルとは

 GMOインターネットグループの生成AIの活用状況については、シフト勤務を除く従業員の83.9%が生成AIを活用しており、1人当たりの削減時間は時間は26.8時間(図1、図2)。

図1 業務における生成AIの活用率(出典:GMOインターネットのリリース資料)
図2 月間の業務削減時間の推移(出典:GMOインターネットのリリース資料)

 同社では2024年3月からAIやRPA(Robotic Process Automation)に関する非エンジニア向けの集中型リスキリング企画「虎の穴」を実施している。この取り組みが成果創出に貢献したとしている。

 業務で利用している大規模言語モデル(LLM)について、従業員の47.2%が「複数のLLMを使い分けている」と答え、業務に好適なLLMとして「GPT-4」「Gemini 1.5 pro」「Claude 3 Opus」が挙がった(図3)。

図3 業務に好適な大規模言語モデル(出典:GMOインターネットのリリース資料)

 業務効率化の面で最も効果的だった活用用途(2024年4月〜6月)を尋ねた項目では、主に調査を中心に開発、要約などが挙がった。

用途 職種 実例
調査   営業    生成AIプロンプトポータル「天秤AI by GMO」で複数のLLMによる回答を比較することで、AIの回答が正しいかどうかを確認する時間が減った。
調査 エンジニア 「ChatGPT」を開発方法の調査に使うことで、完全な正解を得られなくても部分的にキーワードを引き出すことができる。
調査 ディレクター    他社サービスの仕様理解。相談相手がいないため、学習後のAIの回答を基にブラッシュアップした。確認時間を削減できた
開発 ディレクター  これまでは他人に依頼していたGAS(Google Apps Script)の修正や開発が、AIを活用することで自身で行えるようになった。
翻訳・要約    エンジニア 英文の要約において、1回の作業につき15〜30分程度効率化できた。
要約 管理系 理解が難しい言葉があったとき、AIに分かりやすく教えてもらうことで理解の向上につながった

 AIを使っていて「まだ人間がやった方がいいこと」については、アイデア出しやデザインなどクリエイティブな業務領域が上がった。

用途 職種 実例
調査   ディレクター     法的な調べもの、判断。専門知識。
アイデア エンジニア  専門分野におけるアイデア出し。ビジネスにおいて利益をさらに上げる方法やクラウドのより良い設計などについては、一般論しか返ってこないため、まだ人間が考えたほうが良いと感じた。
デザイン クリエイター 過去のABテストの結果を踏まえた具体的なデザイン。AIは0から60に上げるのは得意だが、70から75に上げるのはは苦手な印象。
EQ(心の知能指数) カスタマーサポート 人の気持ちをくみ取ることは、まだ人間がやった方が良い。特にユーザーからの問い合わせ内容など、ハイコンテクストな文章や会話からその先にある希望をくみ取るのは、まだ人間の方が優れている。

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