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2024年、情シスの「大変だったこと大賞」 VMware対応ともう一つは?30の質問で暴く情シスの実態 2024年

企業のIT基盤を支える情シスは2024年もさまざまなトラブルに直面したことだろう。読者調査を基に、情シスの「大変だったこと大賞」を明らかにする。

» 2024年10月25日 07時00分 公開
[大島広嵩キーマンズネット]

 2024年も残すところわずか2カ月。企業のIT基盤を支える情報システム部門の従業員(以下、情シス)は今年もさまざまなトラブルに直面したことだろう。

 そうした情シスの“大変だったこと”を明らかにするため、キーマンズネットは情シスに関する読者調査を実施した(実施期間:2024年8月7日〜10月4日、回答数:246)。情シスが「挑戦したいこと」や「興味のある業務」についても合わせて紹介する。

情シスの「挑戦したい業務」「面倒だった業務」

 まず、情シスが「今後挑戦したい業務」「興味のある業務」について聞いた。

 特に回答が寄せられたのは、「業務の自動化」(26.0%)であった(図1)。2位以降は「生成AIの活用」(19.5%)、「DX推進」(15.0%)と続いた。

図1 情シスが今後挑戦したい業務、興味のある業務、第1位

 企業規模別に見ると、101〜1000人の企業は「業務の自動化」(36.5%)が2位の「生成AIの活用」(17.5%)を大きく引き離している。1001〜5000人の企業は生成AIの活用」(30.8%)が「業務の自動化」(21.2%)を上回り、5001人以上の企業も同様に「生成AIの活用」(30.5%)が「業務の自動化」(28.8%)を上回る結果になった。100人以下の企業は「生成AIの活用」(25.6)と「セキュリティ強化」(23.6%)が「業務の自動化」(18.1)を上回り、他の企業規模帯に比べて大幅にセキュリティを挙げる声が多かった。

 次に、「担当している業務の中で、特に面倒だと思う業務」3つを聞いた。特に回答が寄せられたのが「PCなどの端末調達やキッティング業務」(30.9%)が圧倒的だった(図2)。2位以降は「ヘルプデスク業務」(20.7%)、「PCやライセンスなどのIT資産管理」(17.9%)と続いた。

図2 情シスが特に面倒だと思う業務、第1位

 企業規模別に見ると、「PCなどの端末調達やキッティング業務」が全ての企業規模帯で2位以下の回答を大きく引き離した。詳細は「100人以下」(27.8%)、「101〜1000人」(33.3%)、「1001〜5000人」(23.1%)、「5001人以上」(39.0%)だ。特色があったものとしては、「1001〜5000人」の企業は「Windows 11への移行」が11.5%と全体平均の5.3%を大幅に上回っている。いずれにしても、PC関連の業務が情シスを圧迫している状況に変わりはない。

2024年、情シスの面倒だったことは?

 最後に、「2024年上半期を振り返って特に面倒だったことやトラブル」をフリーコメントで聞いた。回答を整理すると、「技術的なトラブル」と「人的なトラブル」に大別できた。

VMware、CrowdStrike、Windows 11が中心

 技術的なトラブルとして最も多く寄せられたのか、VMwareのライセンス変更に伴うエピソードだ。中には、「予算の再取得。特にVMwareに始まりCitrixXenDesktop製品などのライセンスフィーの一方的な値上げには遺憾と言うより怒りすら感じる」と感情を揺さぶられているコメントもあった。

その他のVMware関連のエピソード

  • VMwareのライセンス変更に伴う他ソフトウェアへの移行対応
  • VMware製品の保守が更新できない
  • 進行中の案件であるが、HCIのハードウェア更新とVMwareのライセンス変更が同時に発生し、対応を迫られていること
  • VMware、Oracle Java
  • VMwareの値上げ対応

 次に寄せられたのがCrowdStrikeのインシデントに関するトラブルエピソードだ。「CrowdStrikeによるBSOD対応」「CrowdStrikeトラブル」など、CrowdStrikeの障害に対するコメントが多く寄せられた。2024年7月19日(現地時間)、CrowdStrikeが「CrowdStrike Falcon」プラットフォームのコンテンツアップデートを実施した結果、WindowsのPCでブルースクリーンが表示される大規模障害が発生したのは記憶に新しい。合わせて、セキュリティに関する面倒だったこと、トラブルエピソードも紹介する。

セキュリティ関連のエピソード

  • 本業のプロジェクトが炎上し赤字を垂れ流したためにセキュリティ関連予算が削られた・セキュリティ機能のクラウド移行の説明
  • セキュリティパッチ適用が特定の端末で適用されない事象についての分析
  • セキュリティインシデントへの対応
  • セキュリティ対策(ランサムウェア対策など)
  • 脅威やセキュリティソリューション変化

 「Windows 10」のサポート終了が2025年10月と迫っている中、Windows 11への移行には多くの障壁がある。「『Windows 11』対応。対象PCの洗い出し、標準PCの定義、予算の定義が大変」「PCの入れ替え。Windows 10からWindows 11へ(入れ替える際)マウスコンピューターからレノボへ移行するのが大変だった」とWindows関連のコメントも寄せられた。

属人化、人手不足

 次に人的なトラブルについて紹介する。特に多く寄せられたのが属人化や人手不足に関するコメントだ。「属人化している業務の中で、担当者が退職し、業務の引継ぎが大変だった」「人材の確保(中途採用)や投資計画策定にかかる作業工数が大きく、本来業務に使う作業工数を大幅に削られた」「運用人材不足」「人間のレガシーマイグレーション」とあるように深刻な人手不足がうかがえる。

 中には、「PC入替、追加に伴う端末のキッティングから個人設定までを丸投げされ、全てインターネットで調べながら仕上げたこと」「サービス残業やサービス出勤を命令してくる人事当局と情シス業務の(品質)劣化は許してくれない社内環境」といった、“のっぴきならない状況”の人も存在した。

 最後に、ワードクラウドで回答を整理したところ、VMwareが他に比べて明らかに大きく表示され、CrowdStrikeが続いた(図3)。なお、全回答者246人のうち、100人以下の企業規模帯は72人、101〜1000人は63人、1001〜5000人は52人、5001人以上は59人であった。

2024年上半期のトラブルエピソード(フリーコメント)を分析 ※ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析( https://textmining.userlocal.jp/ )

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