2024年における中堅・中小企業の生成AI活用に関するノークリサーチの調査によると、中堅企業や中小企業では減っているものの、小規模企業では利用が伸び得ている「ある利用方法」があるという。それは何か。
2024年は、生成AIの本格活用を進める企業が増えた。ただし、事業規模(年商規模)によって、その利用方法には違いがあるようだ。
ノークリサーチが年商500億円未満の中堅・中小企業1300社を対象に実施した中堅・中小企業における生成AI活用と法整備や経済安全保障などとの関連性についての調査(実施期間:2024年7月〜8月)で判明した企業の生成AIの活用方針の違いとは。
生成AI活用の全般的な方針について、2024年調査では2023年調査と比べてどう変わったのか。2024年調査では「業務アプリケーションに組み込んだ生成AI活用」が2023年調査比で若干減少した一方で、「業務アプリケーションと切り離した生成AI活用」は横ばい、「法整備が整うまで生成AI利用を控える」と「自社の知見やデータをAIに学習させることを拒否」は微減した。
ノークリサーチは、「中堅・中小企業全体の傾向としては、法整備や、自社の知見やデータのAIによる学習についてはあまり気にせず、業務アプリケーションと切り離した形での生成AI活用の方向に進みつつあるようだが、年商規模によって傾向に違いがある点に注意する必要がある」と指摘する。
「生成AIは業務アプリケーションに組み込んで利用する」の回答割合を年商規模別に集計した図2では、年商5億円未満の小規模企業層では「生成AIは業務アプリケーションに組み込んで利用する」という回答の割合が2024年調査は2023年調査比で増加している。
「関連する法整備が整うまで生成AIの利用は控える」の回答割合を年商規模別に集計した図3によると、「関連する法整備が整うまで生成AIの利用は控える」という回答の割合は、小規模企業層と中小企業層では2023年比で微増している。
ノークリサーチは、これらの結果から、「中堅企業層では生成AIに関わる法的な懸念が薄れつつあるが、小規模企業層と中小企業層に対しては法制度も踏まえたAI活用の啓発や情報発信が必要だ」としている。
近年、話題になっている経済安全保障についてはどうか。世界各地で対立や紛争のリスクが高まる中、日本の中堅・中小企業も調達、販売の双方で影響を受ける可能性がある。中堅・中小企業が直接関わらなくても、元請けである大企業の製品やサービスが輸入・輸出や知的財産保護の規制対象となる可能性があるからだ。
「経済安全保障に伴う環境変化への対応力を重視する」と回答した中堅・中小企業が、生成AI活用をどのように考えているか。図3によると、経済安全保障の動向を重視しているユーザー企業は、生成AI活用においても法整備や、自社の知見やデータをAIが学習することについて慎重な姿勢を示している。
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