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中堅・中小企業のRPAブームは一段落 「導入つまづきポイント」が調査で判明ニュースピックアップ

ノークリサーチが中堅・中小企業を対象に実施した調査によると、RPAブームは一段落したとみられるという。中堅・中小企業のRPA導入、利用拡大を阻む「つまづきポイント」とは。

» 2024年08月14日 07時00分 公開
[金澤雅子キーマンズネット]

 RPA(Robotic Process Automation)は、従来の業務システムがカバーしきれなかった「隙間の手作業」を自動化することで、業務効率化を図る有効な手段の一つだ。しかし、ノークリサーチによると、RPAが登場した当初のブームは中堅・中小企業では既に一段落したとみられるという。

中堅・中小企業のRPA導入を阻む「つまづきポイント」は?

 ノークリサーチが中堅・中小企業向けのRPAツール市場を再度活性化させるための施策に関する分析結果によると(注1)、今後、RPAを導入する意向のある「予定ユーザー」は15.0%である一方、「縮小ユーザー」と「廃止ユーザー」の合計は14.4%とほぼ同程度に達し、この値は「拡大ユーザー」の10.7%を上回った。

図1 RPAツールの活用状況(出典:ノークリサーチのプレスリリース)

 中堅・中小企業はRPAの導入、利用拡大に当たってどこでつまづいているのだろうか?

「拡大ユーザー」と「廃止ユーザー」がともに多い業種は?

 ノークリサーチは、RPAツール市場を再びt活性化させるには、「縮小、廃止ユーザー」の発生を防ぎ、「拡大ユーザー」の増加と「予定ユーザー」の導入実現が不可欠になるとノークリサーチは分析する。

 今回発表された分析の基となった調査の対象企業は組立製造業や加工製造業、建設業、卸売業、小売業、流通業(運輸業)、IT関連サービス業、一般サービス業の8業種に渡る。

 では、廃止ユーザーと拡大ユーザーがともに多いユーザー企業層はどこなのか。

 廃止ユーザーや拡大ユーザーにおける業種区分の比率を全体平均と比較した図3を見ると、組立製造業では廃止ユーザーと拡大ユーザーの双方の割合が全体平均よりも高いことが分かる。

図2 業種区分の比率(出典:ノークリサーチのプレスリリース)

RPAツール導入を予定している小規模企業の課題とは?

 拡大ユーザーと廃止ユーザーは、RPAツール活用の取り組みや方針においてどのような違いがあるのか。

図3 RPAツール活用における取り組みや方針(出典:ノークリサーチのプレスリリース)

 図3によると、組立製造業の拡大ユーザーが「自動化の適用範囲をペーパレス化に絞る」と「処理量やデータ量に基づく従量性課金を選ぶ」を望む割合は、全体平均とほぼ同じだった。一方で、「自動化テンプレートの利用」「複数業務が連携した自動化」「PC操作に基づく自動化業務の診断」の3項目は全体平均よりも高い割合を示した。

 RPAツールの導入を予定している小規模企業の課題は何か。RPAツールの導入を予定している小規模企業層が抱える課題を全体平均と比べた結果の一部が図4だ。

図4 RPAツール活用における課題(出典:ノークリサーチのプレスリリース)

 小規模企業層はIT管理、運用の人員が限られるため、「RPAツールの導入、運用に要する手間が障壁となるのでは」と考えがちだ。しかし、図5によると小規模企業は全体に比べてツール導入、運用の手間について、大きな障壁ではないと考えていることが分かる。

 一方で、「自動化の対象となる業務が限定される」「自動化できる業務内容がどれか判断できない」といった課題は全体平均よりも高い割合に上った。

 これらの結果を踏まえて、ノークリサーチは、中堅・中小企業に関するRPA利用については、「PC操作を基に自動化すべき業務を診断する仕組みを活用することが重要になる」と分析する。

(注1)国内各種業種の中堅・中小企業1300社(有効回答件数)を対象に実施した調査に基づく報告書「2024年版 RPAツール導入の再活性化に向けた実践レポート」からの抜粋として2024年7月22日に発表。

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