データを連携する手段として最も多く利用されているツールは何か。企業規模によって異なる利用率や、導入前の課題などと併せてある調査で明らかになった。
企業が利用するアプリの数が増える中で、データをどう連携するかが重要性を増している。日本企業がいま一番使っている連携ツールは何か。また、企業規模によって連携手段に違いはあるのか。
スターティアホールディングスが日本企業を対象に実施した「システム間のデータ連携」に関する調査の結果を見てみよう。
同調査は、日本企業に勤める1万3202人と、システム同士のデータ連携で「ツールやテクノロジーを活用している」と答えた一般企業に勤務する550人を対象として、スターティアホールディングスの連結子会社であるスターティアレイズが2025年1月8〜21日の期間に実施した。
同調査によると、所属部門でシステム間データ連携にツールやテクノロジーを「活用している」と答えた回答者は23.66%だった。「現在は手作業だが、今後ツールやテクノロジーを導入予定」、あるいは「ツールやテクノロジーを活用したシステム連携に興味がある」と回答した担当者は合計15.62%で、現在ツールを使っていなくても前向きに検討している層が一定数いることが分かった。
同調査では、ツールの利用率が企業規模で異なることと、企業で多く利用されているツールも明らかになった。
企業規模別にみると、企業規模が大きいほどデータ連携ツールやテクノロジーの導入率が高い傾向が見られる。特に従業員数1000人以上の企業では38.16%が利用しており、300〜1000人未満の企業も30.81%が利用している。
一方で、50人未満の企業で「利用中」と答えた回答者は14.21%にとどまり、「手作業で十分であり、システム連携には興味がない」と回答した割合が35.99%に上った。
データ連携に利用されているツールやテクノロジーとしては「iPaaS」(Integration Platform as a Service)が793票で最多だった。「RPA」(Robotic Process Automation)(719票)、「API連携」(657票)が続いた。「ETL」(Extract、Transform、Load)(406票)や「スクラッチ開発」(358票)も一定数利用されている。
データ連携ツール、テクノロジーの選定理由として最も多かったのは「低コスト・予算内で導入が可能であった」(185票)で、「連携できるクラウドサービス(SaaS)が豊富だった」(157票)が続いた。「セキュリティ面」(148票)や「操作・設定方法が簡単だった」(120票)も上位に挙がっていた。
連携するSaaS、システムとして最も多いのは「Microsoftアプリケーション」(242票)を獲得し、次いで「会計システム」(181票)、「Googleアプリケーション」(165票)となった。主にMicrosoft製品との連携で活用している担当者が多いことが分かった。
データ連携を実施している業務として最も多かったのは「データ集計・分析」(267票)で、「勤怠管理」(190票)、「レポート作成」(189票)が続いた。「顧客管理」(166票)や「受発注管理」(159票)、「経費精算」(130票)も挙がった。
データ連携ツール、テクノロジー導入前の課題として最も多い票を集めたのは「手作業が多く、効率が悪かった」(189票)で、「システム間でデータが連携できず情報が分断されていた」(185票)が続いた。「リアルタイムでデータを更新したかった」(128票)や、「複数のクラウドサービスに同じデータを登録、入力する作業が発生していた」(117票)も比較的多くの票を獲得した。
データ連携ツールやテクノロジーを導入した後の効果、成果としては「システムの管理が容易になった」(187票)、「リアルタイムでデータが更新され、情報の一元化が実現した」(177票)、「業務が効率化され、時間の節約ができた」(160票)を挙げる回答者が多かった。「低コストでデータ連携が可能になった」(139票)や「対応漏れや見落としを防止できた」(132票)、「人的ミスが削減・軽減された」(119票)という回答も多かった。
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