議事録作成の負荷軽減のため、音声認識技術と自然言語処理技術を活用した議事録AIへの関心が高まっている。三井不動産リアルティもその一社だ。わずか3日で導入を決めたという。
三井不動産リアルティは、自然言語処理技術など独自AI技術の研究開発を手掛けるPKSHA Technologyと、そのグループ会社PKSHA Infinityの支援のもと、AI音声議事録サービス「YOMEL(ヨメル)」の運用を開始した。
同社リテール事業本部プロジェクト営業部では、都心やリゾートのマンション物件に関する事業企画・販売を行っている。これまで、営業担当者が商談内容を手作業で「Excel」に入力し、議事録を作成・体裁を整えるといった作業が日常的に発生しており、多大な工数と時間を要していた。
さらに、記録された情報が担当者個人にとどまりやすく、組織全体での知識共有や活用が難しいという課題もあった。顧客との「言った・言わない」の食い違いを防ぐことや、ハイパフォーマーのノウハウを共有するといった観点からも改善が求められていた。
こうした背景を受け、営業現場の生産性向上と、より質の高い顧客対応の実現を目指し、同社はAIによる音声認識と議事録自動化を実現する「YOMEL」の導入を検討した。
プロジェクト営業部の8グループでトライアル導入を実施した結果、わずか3日で本格導入が決定した。
導入の決め手となったのは、商談内容を正確にテキスト化できる高い音声認識精度と、シンプルで直感的なUI、スマートフォンでの操作性の高さだ。
導入後、商談ログの手入力作業が不要になり、議事録作成にかかっていた時間が大幅に削減された。Excelに貼り付けるリンクを取得するだけで作業が完了でき、従来の業務フローが大きく効率化された。既に議事録作成業務の約50%が削減され、営業担当者は本来の業務である顧客との対話や提案に集中できるようになったという。
また、商談内容が正確に記録されることで顧客との認識のズレを防ぐとともに、ログの一元管理による情報共有が進み、将来的には優秀な営業担当者のナレッジ活用など、組織全体の底上げも期待されている。
PKSHA Technologyは、三井不動産リアルティのプロジェクト営業部と連携し、YOMELの全体展開と定着を進めていく考えだ。今後は「書く」作業の負担を削減し、「話す」だけで業務が進む新しい営業スタイルの確立を目指し、さらなる営業DXの推進に取り組むとしている。
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