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Dドライブのデータ飛ぶ…… GoogleのAIエディタが大惨事をやらかしたワケ:859th Lap

コード生成AIが普及する一方で、その便利さの陰に思わぬリスクが潜む可能性もある。最新AIツールを利用していたユーザーが「Dドライブ全消去」という深刻な事態に直面し、コミュニティーで大きな話題となった。一体、何が引き金となったのか。

» 2025年12月12日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 ユーザーが言葉で指示を入力するだけでコードを自動生成してくれる「コード生成AIツール」。最近はさまざまなツールが登場しており、初心者からプロのエンジニアまで幅広く利用されている。作業効率を高め、生産性の向上やコスト削減にも役立つ存在だ。

 一方で、AIが生成したコードには、非効率な処理やセキュリティの欠陥が含まれる可能性があり、人間によるチェックやレビューは欠かせないという指摘も多い。また、著作権や倫理に関する懸念も根強く、コーディングを全てAIに任せられるようになるには、まだ時間がかかるという見方もある。

 そんな中、Googleのコード生成AIツールの致命的なミスによってPCのDドライブのデータが丸ごと消去されてしまったという。あまりの“やらかしぶり”に、状況を知った他のユーザーからも同情の声が上がったという。なぜ、このような大惨事が起きたのか?

 深刻なトラブルを招いたツールとは、Googleが2025年11月18日(現地時間、以下同)に公開したばかりのAIコードエディタ「Google Antigravity」だ。従来の補助的なIDE(統合開発環境)とは異なり、エージェントファーストを掲げ、ユーザーが仕様や要望を記述するだけでAIエージェントが自律的にコード作成やテスト、タスク管理を実行し、アプリを完成させるという革新的な開発環境だ。

 そのGoogle Antigravityが「Windows PC」のDドライブ内のデータを丸ごと消去してしまったという。2025年12月5日、この問題をTech系メディア「Windows Central」が報じ、詳細な経緯を解説した。

 記事によると、エンジニアのDeep-Hyena492氏は開発中アプリのトラブルシューティング中、サーバ再起動に伴うキャッシュ削除をGoogle Antigravityに指示した。Google Antigravityは指示通りキャッシュをクリアしたものの、その過程で誤って Dドライブのルートディレクトリを対象に「rmdir」コマンドを実行してしまい、ドライブ内のデータを丸ごと消してしまったという。

 異変に気づいたDeep-Hyena492氏が「Dドライブ全体の削除の許可を得たか?」と尋ねると、Google Antigravityは「いいえ、許可は頂いていません」と返答した。その後、「ログを確認したところ、プロジェクトキャッシュをクリアするために実行したコマンドが、特定のプロジェクトフォルダではなく、誤ってDドライブのルートをターゲットにしていたことが分かりました。深くおわび申し上げます。これは私の重大なミスです」と謝罪したという。

 この件はTech系情報サイト「Tom's Hardware」でも取り上げられ、深く落胆するDeep-Hyena492氏に対し、Google Antigravityはドライブの使用停止やデータ復旧ツールの利用、専門家への相談などを提案したとされる。だが、同氏が「Recuva」で復元を試みたところ、画像や動画など多くのファイルは戻らなかった。

 一連のやりとりは「Reddit」に投稿され、多くのユーザーが同情や意見を寄せたものの、有効な解決策は見つからず、最終的には事前バックアップの徹底とGoogle Antigravityにルート権限を与えず、コンテナ環境で利用することが対策として挙げられるにとどまった。

 謝罪こそあったものの、失われたデータは戻らない。Google Antigravityに限らず、AIエージェントを前提とした次世代IDEが普及するほど、こうした問題が発生する可能性が高まるかもしれない。


上司X

上司X: GoogleのAIコードエディタが、ユーザーの操作中にDドライブ全消去という恐ろしい挙動を示した、という話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: まさかのDドライブ消去とは……!


上司X

上司X: Deep-Hyena492氏にとってもまさかの事態だったことだろう。Dドライブには写真やら動画やら、大事なデータがあったみたいだからな。


ブラックピット

ブラックピット: キャッシュの消去を命じただけで、ローカル環境の大事なファイルを削除するなんて想定外すぎますよね。


上司X

上司X: だろうな。


ブラックピット

ブラックピット: そして、状況を確認したらAIが謝罪するっていうのもまた面白い話ですね。


上司X

上司X: 面白がっちゃダメだよ……。


ブラックピット

ブラックピット: それにしても、こういうケースがあるとAIコードエディタを使うのに二の足を踏んでしまう人も出てくるかもしれませんねえ。僕は使いますけど!


上司X

上司X: 今回の件を見聞きすると、Google Antigravityはしばらくは敬遠したいところだ。他にもたくさん選択肢はあるしな。いずれにせよ今回の事故は衝撃的だけど、これからコード生成AIツールの利用がさらに進むのは確かだろう。だからこそ、自分にとって信頼できるツールを選定したいものだな。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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