半導体需要の高まりなどにより、これまでになくPCの価格が高騰している。一般消費者はもちろん、企業もこの影響を避けられないだろう。調査から値上げの影響を受けやすい企業を探った。
2026年、法人向けPC市場では部材コストの高騰や円安の影響もあり、値上げラッシュが続いている。特に2025年10月には「Windows 10」のサポート終了もあり、PCを買い替え予定であった企業にとっては大打撃となっている。
そこでキーマンズネットでは「PC価格上昇に伴う勤め先における影響」と題して調査を実施した。(2026年2月27日〜3月19日、回答件数:247件)。前編となる本稿では、今回のPC値上げが企業にどの程度の影響を与えるのか。その実態を探る。
はじめに、2026年度のPC調達計画を聞いたところ、「故障・老朽化対応として必要最小限の調達を予定している」(33.2%)と「一部部署のみ入れ替え、調達を予定している」(14.6%)、「大規模な入れ替え、調達を予定している」(5.7%)となり、これらを合わせると過半数にあたる53.5%が「PC調達を予定している」と答えた(図1-1)。
この結果を業種別で見ると、IT製品販売や受託開発を行う「IT関連業」の約7割が調達を予定しており、従業員規模別では5001人を超える大企業群が約6割と、特に高い割合を示している。それらの企業では、今回の値上げラッシュの影響を直接受ける可能性が高い。
いま起きているPCの価格高騰は半導体の供給が増えたことや盛り上がりを見せるAI PCの需要が一巡したことで、2027年以降には落ち着きを取り戻すとされており、調達計画を変更する企業も多い。
「2026年度のPC調達計画に変更はあるか」を聞いたところ、「PCの更新周期を延長し、既存端末の継続利用で対応する」(19.8%)と「調達時期を後ろ倒しする(状況を見極めるため)」(8.9%)、「調達台数を減らす(コスト抑制のため)」(8.5%)、「調達時期を前倒しする(値上げや納期遅延への対応のため)」(7.3%)を合わせると「変更する」と回答した割合は割合は44.5%。「当初計画通り実施する」(47.0%)と二分する結果となった(図1-2)。
前出のように、PCの利用頻度が高い業種や規模の大きい企業群では「当初の計画通りに実施する」が高い傾向にあるが、そうでない企業においてはPCの更新周期を延長したり、調達時期を後ろ倒ししたりすることで、価格安定タイミングを見計らう方針を取るようだ。
PC価格上昇は企業の調達コストにどの程度の影響を与えるだろうか。
2025年と比較して予想される増額割合について聞いたところ、「値上げの影響は受けない」(19.0%)は2割以下で、「10%以上、15%未満」(25.5%)や「5%以上、10%未満」(23.1%)など、約半数が5〜15%の増額を予想した(図2-1)。特に、相対的に予算額が少ない中小企業群ほど調達コスト増加によるインパクトも大きいようで、従業員規模が小さくなるほど増額割合が大きくなる傾向だ。
また、PCの調達方法によって、コストへの影響に差が生じることも分かった。調達方法別で増額割合を見ると、「値上げの影響は受けない」としたのは「購入」しているケースで12.9%であったのに対し、「リース契約」では27.4%と倍近くだった。
同様に増額割合を比較すると、「10%以上増額」とした回答者のうち「購入」を選択したのが60.6%。それに対し、「リース契約」が40.5%と20.1ポイントの差がついた。“15%以上”では「購入」が35.6%、「リース契約」が13.1%と、22.5ポイントの差が出ている。このことからPCを「リース契約」した方が、PC価格上昇の影響を受けにくいことが分かる(図2-2)。
スポット価格で都度決済されることから時期的な影響を受けやすい「購入」に比べ、契約期間中は支払額が固定される「リース契約」の方が影響が少ないことは想像に難くない。ただし「リース契約」においても「5%以上、10%未満」(27.4%)や「10%以上、15%未満」(27.4%)など半数以上が一定の影響を受けると予想されており、契約更新タイミングによっては直撃を免れないだろう。また、両者ともに5%以上から15%未満という回答が約半数ということから、2026年度のPC調達コストは昨対比で最低でも1割以上増加するという見方が強い。
PCの調達方法や購入時期により、価格の増額割合を多少抑えられる傾向も見えてきた。
では、その前提となる、企業の業務用PCの更新周期はどのように設定されることが多いのか。調査の結果、「4〜5年おき」(43.7%)が最多で、「壊れたら都度購入」(18.2%)、「リース/レンタルの契約更新に即して切り替え」(15.8%)と続いた(図3)。税法で定められるPCの法定耐用年数が4年ということで会計が合理的なためか、全体の4割以上が「4〜5年おき」と答えた。また、多くのPCメーカーで提供している延長保守の最長期間が5年であることも要因と考えられる。
一方、およそ5社に1社が「壊れたら都度購入」としている点には注意が必要だろう。計画的な更新ではないため、価格高騰や納期遅延の直撃を受けやすくなることが予測される。また、PCを個別に購入や更新することで社内にOSやスペックが異なるPCが混在し、管理負担の増加やサポート切れPCの放置といったセキュリティリスクを抱えやすくなることも懸念される。
ちなみに、前項同様「予想されるPC調達コストの増額割合(昨対比)」とのクロス集計で、「リース/レンタルの契約更新に即して切り替え」とした人の21.0%が「値上げの影響はない」としており、ここでもリース契約は値上げの影響を受けにくい傾向にあることが見て取れた。
以上、前編では、企業における2026年度のPC調達計画や昨対比での増額割合と調達計画の変更有無など、今回のPC価格上昇が企業にどの程度影響を与えるのかを見てきた。そこで後編では、企業が調達コストを抑えるために実施している対策やその評価についてを取り上げる。
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