アイ・ティ・アールは、人材管理市場の成長見通しを発表した。2024年度の市場売上高は355億3000万円で、前年度比28.9%増となった。深刻化する人手不足を背景に、人材配置の最適化や離職防止、人材育成を目的としたシステム導入が拡大している。
アイ・ティ・アール(ITR)は2026年5月12日、国内人材管理市場の規模推移と将来予測を公表した。2024年度の市場売上高は355億3000万円となり、前年度比28.9%増を記録した。企業の人材不足が深刻化する中、人材配置の最適化や離職抑制、人材育成強化を目的としたシステム導入が広がっており、市場は高い伸びを維持している。ITRは2025年度も同水準の成長率が続くと予測している。
市場の拡大を支えているのは、主要ベンダーの業績伸長に加え、企業の人材活用ニーズの高まりだ。企業では、従業員のスキルや評価情報を一元管理し、適材適所の配置や育成に生かす取り組みが進んでいる。
中堅・大企業では既に導入が進んでいるため、現在は既存システムの刷新需要が市場成長を後押ししている。特に、人材データ分析機能の強化や、オンプレミス型からSaaS型への移行が活発化しており、人材情報を経営判断や組織戦略に活用する動きが広がっている。
一方、中小企業では未導入企業も多く、紙や表計算ソフトによる管理が依然として残っている。そのため、業務効率化や情報共有を目的に、初期費用を抑えやすいクラウド型サービスへの関心が高まっている。これが市場成長の新たな原動力となっている。
ITRは、人材管理市場の2024〜2029年度の年平均成長率(CAGR)が21.1%に達すると予測する。人材管理分野は、今後も企業IT投資の重点領域として拡大が続く見通しだ。
ITRリサーチ・フェローの平井明夫氏は、「人材管理システムの導入目的が変化している」とコメントする。これまでは「人材情報の可視化」や「人事評価・目標管理」「スキル・資格管理」といった基本機能の整備が中心だった。だが、多くの企業で基盤整備が進んだことで、今後はより高度な課題解決機能が求められるようになるという。
具体的には、人材配置シミュレーションや従業員アンケートによる組織状態の分析、モチベーション管理、採用時のミスマッチ防止などの機能への需要が高まる見込みだ。単なる人材データの蓄積から、経営課題の解決や組織改善へと活用フェーズが移行している。
今回の内容は市場調査レポート「ITR Market View:人材管理市場2026」にまとめられている。同レポートでは、人材管理市場に加え、LMS市場やマニュアル作成支援市場についても調査しており、国内27社のベンダーを対象に、2023〜2024年度の実績と2029年度までの市場予測を分析している。
人材不足や人材流動化が進む中、人材データを経営資源として活用する流れは今後さらに強まるとみられる。こうした背景から、人材管理市場は引き続き高い成長が期待されている。
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