老舗メーカーのカワカミは、紙による図面管理が引き起こす「探し出す手間のロス」や「現場と事務所の往復」に悩まされていた。この課題に対し、製造ラインを止めない効率的なデータ共有基盤の構築に踏み切った。
図面や製造指示書の管理は、製造業の設計・生産活動を支える重要な業務基盤だ。一方で、紙による管理では必要な資料を探す時間や現場との受け渡し、取引先との情報共有に負荷が生じやすい。乾麺製造機械メーカーのカワカミ(岡山県浅口市)は、図面管理の見直しをきっかけに、設計から製造、取引先との情報共有までを含めた業務基盤の刷新に取り組んだ。その背景には、単なるペーパーレス化ではない、製造現場の情報活用を変える狙いがあった。
同社が見直しを検討したのは、先端技術を取り入れた業務改革を進める中で、社内の情報管理の在り方を再検討したことがきっかけだった。図面や製造指示書は、乾麺結束機や計量機の設計、製造、据え付け、保守までを支える重要な情報だ。だが、従来はこれらを紙で保管していたため、過去の図面を探すだけで1時間以上かかることもあり、類似図面が見つからず、一から設計し直すケースもあった。
さらに、資料は事務所で管理していたため、製造現場の担当者は必要な図面を確認するたびに往復する必要があり、その移動時間も負担となっていた。社外とのファイル共有では、PPAPや無料の大容量ファイル転送サービスを利用していたが、セキュリティ面や取引先の利用要件への対応も課題だった。
こうした情報管理の課題を解決するため、同社が選択したのが「Dropbox」だ。「Windows」のファイルエクスプローラーに近い操作感で利用できることに加え、企業利用に求められるセキュリティ機能、他のSaaSとの連携性、コスト面のバランスを評価したという。
導入後は、図面や製造指示書をクラウドで一元管理できる環境を整備。必要な資料をすぐに検索できるようになり、図面検索にかかる時間を約1分まで短縮できた。過去の類似図面を活用しやすくなったことで設計業務の効率化にもつながり、「LINE WORKS」との連携によって現場への図面共有もスピーディーになった。結果として、事務所へ資料を取りに戻る必要がなくなり、製造ラインを止めずに作業できる体制を実現した。
また、アクセス権限管理や2要素認証などを備えた環境で安全にファイル共有できるようになり、上場企業や海外企業との案件でも円滑な情報連携が可能になったという。現在はペーパーレス化も全体の約10%まで進んでおり、今後は未活用の機能も取り入れながら、さらなる業務効率化を進める考えだ。
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