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Skypeは、ZoomやLINEに負けて消えたわけではなかった

死語となったIT用語の魂が集う「IT死語管理事務所」に、懐かしい着信音が鳴り響いた。その主は、かつてオンライン通話の代名詞だった「Skype」。ZoomやLINEに負けて消えた――多くの人はそう思っている。だが、その最期は少し違ったようだ。

» 2026年08月05日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 ここは、いつしか誰からも顧みられなくなったIT用語の魂がたどり着く「IT死語管理事務所」。ITの長い歴史の中で、消えゆく運命だった用語たちが「管理台帳」へまとめられていく。さて、本日到着する魂は……。

ケースNo.002「Skype」

死神管理人: PCから聞き覚えのある着信音が流れてくるが?


アンデッド管理人: ああ。本日到着予定の魂が、自分自身を使って通話を試みているようだ。遅刻の連絡かな?


死神管理人: 魂になってまでオンライン通話か。ずいぶん充実した人生、いや“用語”生だったようだな。


アンデッド管理人: その名は「Skype」。2025年5月5日をもって役目を終えたそうだ。


死神管理人: 俺も使っていたよ。それでは早速、「IT用語アカシックレコード」で、その長い用語生を確認しよう。


「IT用語アカシックレコード」とは、コンピュータの始祖・ENIACの誕生から現在、そして未来に至るまで、IT用語についてさまざまな事象が記録されているデータバンクなのだ!(民明書房「IT用語の爆誕と存亡」より)

Skypeは単に競争に敗れて消えたのか

 かつてオンライン通話の代名詞だったSkypeは、2025年にその役目を終えた。だが、Skypeは本当に、「Zoom」や「LINE」に負けて消えたのか。その歩みをたどると、勝者と敗者という物差しでは測れない、もう一つの結末が見えてくる。

//アカシックレコード解説【Skype】

 Skypeは、インターネット経由で音声通話やビデオ通話、チャットができるコミュニケーションサービスだ。2003年に登場し、Skypeの利用者同士なら国や距離を越えて無料で話せる手軽さから急速に広まった。

 国際電話などに高い通話料がかかるのが当たり前だった時代に、PCとインターネット回線さえあれば長時間話せる、その体験は画期的だった。2005年にはビデオ通話機能も加わり、人気を広げていった。

 やがて「Skypeで話そう」「後でスカイプする」と、サービス名がオンライン通話そのものを表すようになった。離れて暮らす家族や友人、海外との連絡、オンライン英会話、仕事の打ち合わせなど、用途は幅広かった。ヘッドセットをPCにつなぎ、あの着信音を待つ光景は、2000年代から2010年代前半を象徴するものとなった。

 Skypeが広めたのは、アプリそのものだけではない。「インターネットで人と話す」という習慣を定着させたのだ。

 Skypeは当初、Skype Technologiesが開発、提供していた。2005年に米国のインターネットオークション大手eBayが同社を買収し、2011年にはMicrosoftがSkypeを買収した。その後、「Windows Live Messenger」の利用者をSkypeへ移行させるなど、Microsoftのコミュニケーションサービスとして展開された。しかしその頃、Skypeが切り開いた市場には、次々と新しいサービスが登場していた。もともとP2P技術をベースとしていたSkypeは、モバイル環境への対応に時間がかかってしまっていた。

 スマートフォンが生活の中心になると、LINEや「WhatsApp」など、普段のメッセージ交換からそのまま通話できるアプリが定着した。仕事では「Slack」や「Microsoft Teams」がチャットとオンライン会議を一体化し、2020年前後にはZoomや「Google Meet」を使ったWeb会議も急速に普及した。

 オンライン通話がさまざまなサービスの一機能になったことで、Skypeを起動して相手に電話をかけるという利用スタイルは、少しずつ時代とかみ合わなくなっていった。

 そしてMicrosoftは、2025年5月5日にコンシューマー向けSkypeを終了し、利用者に「Microsoft Teams Free」への移行を案内した。既存のSkypeアカウントでTeams Freeにサインインすれば、連絡先やチャットを引き継げる仕組みも用意された。

 ただし、Skypeが何も残さずに消えたわけではない。無料の音声・ビデオ通話や画面共有、オンラインでの会議や面談といった機能は、現在では多くのサービスに当たり前のものとして組み込まれている。

 そういう意味では、Skypeは別の名前に転生したのではない。自ら広めた文化が日常になったことで役目を終え、ひっそりと引退していったといえるだろう。

//--------------------解説終わり



アンデッド管理人: つまりSkypeは、単に後継サービスに負けて消滅したというのとは、少し違いそうだね。


死神管理人: ああ。オンライン通話が特別ではなくなったのは、Skypeが役目を果たした証しでもある。


アンデッド管理人: では今回は「消滅」ではなく、「文化定着による引退」でどうだろう。


死神管理人: 異議なし。サービスは終わったが、Skypeが作った日常は残っている。


アンデッド管理人: 管理台帳にもそう記しておこう。ところで、まだ着信音が鳴っているけど?


死神管理人: 久しぶりに耳にしたら懐かしくなってな。あえて魂を待たせておいたんだ。さて、一緒に応答するとしよう。



用語:Skype、誕生:2003年、最盛期:2000年代後半〜2010年代前半、引退:2025年5月5日、死語後:文化定着による引退、現世での痕跡:オンライン通話、ビデオ会議、画面共有、オンライン面談など

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