IT導入完全ガイド
データ消去を徹底比較、SSDのデータ消去には要注意(4/4 ページ)
ここからは、データ消去に関する疑問を解消していこう。以前と比べてもクライアント環境は大きく様変わりしており、データ消去にも新たな対応が求められている。
SSDはHDDと同じように考えて大丈夫?
磁性体を変化させて記録するHDDと違い、SSDは半導体メモリに電流を流し、電荷の偏りを持たせることでデータを記録する不揮発性メモリであり、磁気ではなく電気的に保存する。そのため、SSDをはじめ、USBメモリなど磁性体を用いていない記録媒体は、磁気消去ができない。もちろん物理破壊は可能だが、プラッタに穴をあけるHDDとは違い、メモリの集合体を粉々に粉砕することが必要になる。
また上書きデータ消去についても、大きく方法が異なってくる。SSDにはHDD同様に記録を制御するためのファームウェアが入っているが、メモリ寿命を長くするために無駄な書き込みを抑制する機能がSSDには備わっており、HDDと同様の方法ではうまく消去できないケースが多い。
例えばデータ消去ツールが「00を60GB分のセクタに上書きしなさい」という指示を出すと、ファームウェアが実際は書き込みを行わず「60GB分上書きしましたよ」という情報だけを保持してしまう。本来であれば、エンハンスドセキュアイレース(Secure Erase)と呼ばれるコマンドを利用することで、一瞬のうちにデータを書き換えることができるのだが、ファームウェアによってはサポートされていなかったり、実行方法が不明瞭なものがあったりする。
今回取材したブランコジャパンでは、完全にランダムな情報をその場で1つずつ生成し、さらにSSDなら必ず持っているプラスアルファの記録領域に対しても上書きを実施するため2回の書き込みを行い、さらに念のためにエンハンスドセキュアイレース(Secure Erase)コマンドを実行するというオリジナルの方法でSSDヘのデータ消去を実現している。
MDMでのリモートワイプは安全なの?
スマートフォンを安全に管理するためのツールとしてMDM(Mobile Device Management)があり、万一紛失した際にはリモートワイプによってデータを消去することが可能だ。しかし、データがスマートフォンのメモリ内から消えているかと言えば、PCにおける初期化の状態と同様、実際にはデータがメモリ上に残ったままだ。データを完全に消去するには、ソフトウェアによる上書き消去が必要になる。
ちなみに、最近ではアプリケーション仮想化やデスクトップ仮想化を利用してスマートフォンやPCから業務アプリを利用するといったケースも増えつつあるが、デバイス側に情報が残らないものの、仮想化のための設定情報は残ってしまう。この設定情報が気になってデータ消去を行うというポリシーを設定している企業もある。
RAIDで保存されているデータはどうやって上書き消去する?
RAIDの設定が可能なサーバの場合、そこにはRAIDコントローラーが存在しており、基本的にRAIDコントローラー越しにHDDにアクセスすることになる。データ消去についても、RAIDコントローラーにアクセスするためのドライバに対応しなければならず、実際にはHDDの情報がデータ消去のソフトウェアから認識できないケースが多い。
HDDが認識できたとしても、論理的なボリュームで管理されているRAIDの場合は各HDDに対して同時処理ができず、膨大な上書き処理時間がかかることになる。そこで、RAIDの設定を認識した上でその設定を解除するディスマントル機能を実装しているソフトウェアがある。全てのRAIDコントローラーに対応しているわけではないが、設定を解除することができれば、各HDDに平行して上書き消去を行うことが可能になり、消去時間を大幅に短縮することが可能になる。
スマートフォンのデータ消去はどうするの?
大前提として、スマートフォンは再販売できるために再利用価値が高く、基本的にはリユースできるよう上書き消去を実施するのが一般的だ。スマートフォン内のデータを消去するには、PCと接続した状態で上書き処理を実行することになる。
ちなみに、水没などで立ち上がらなくなったものは、記録媒体に磁性体を用いていないために磁気消去できず、物理的に破壊することになってくる。ただし、スマートフォンには液晶パネルやバッテリーなどがあり、HDDのように外部から穴を強制的にあけようとすると液漏れやガラスが割れるなど安全とは言いがたい。メモリだけ取り出そうとしても、電波法の関係で認可されていない人がむやみにあけると処罰される可能性も出てくるので注意したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IT導入完全ガイド
注目の技術やITツール。そもそもどういったモノで何に使えるのか、どんなモノを選ぶべきか、課題はあるか、といった情報を基礎から徹底解説します。
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
C言語は「危険」と言われても、専門家が「使う価値は十分にある」と言うワケ:900th Lap
-
2
かんぽ生命が営業報告を50分→10分に AI時代に見直すべき「データ入力」の仕組み
-
3
M365 Copilot全庁展開で月2000時間削減 現場がAIを「使いたくなる」習慣化の仕組み
-
4
6TBファイルのサーバ移行、M365ユーザーの八雲町がSharePointでなく「あえてBox」の理由
-
5
Claude Codeに「仕事を丸投げ」して事故らないための基本運用ルール
-
6
損保ジャパン、2万人の「Gemini活用」どう管理? 推進者が語る「リスク回避」の仕組み
-
7
「カスハラ対応」を個人に任せない 取手市がAIで変えた窓口業務
-
8
「Claude」3倍高速化の裏で、Anthropic開発者が「あえてしなかったこと」:899th Lap
-
9
社員の「セキュリティ訓練」、他社はどの程度やっている? 気になる隣の実施状況
-
10
20年物の基幹システム刷新に、マクロミルがあえて「全てを変えない」と決めた理由
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー