5分で分かる最新キーワード解説
シュッと現れパッと消える「海水アンテナ」とは?(1/3 ページ)
海水を噴き上げてアンテナにするという画期的な技術「海水アンテナ」が登場した。応用に期待が持てる新たなアンテナの形に注目だ。
今回のテーマは、海水を吹き上げてアンテナを作る「海水アンテナ」だ。導電性のある塩水とポンプがあれば、どこでも電波の送受信ができるようになるので、ビーチでTV放送を受信したり、洋上プラントで必要な時だけ無線通信をしたり、災害時に被災地にポンプ車を派遣して臨時の通信システムを構築したりと、さまざまな用途に応用できそうだ。一体どんな仕組みなのか。
「海水アンテナ」とは?
海水アンテナは、海水をポンプでくみ上げ、水柱のように空中に噴出し、電波を捉えるアンテナとして活用する技術だ。2016年1月、三菱電機が海水アンテナで地上デジタルテレビ放送の受信実験を行い、十分な映像受信ができることを確認した(世界初)。
まず、実験システム(三菱電機研究施設屋内)を見てみよう。図1の右側の水槽が海水アンテナのデモ装置、左側が一般的なテレビだ。水槽の下には小型のポンプ(一般的な市販製品)があり、ボタンを押すと水槽の液体(海水と同じ電導率に調整された水。以下「海水」と呼ぶ)をノズルから噴出する仕掛けだ。
写真はテレビをつけた状態で水槽下のポンプを起動した直後の状態だ。テレビ画面には地デジの番組が映し出され、チャンネルを変えても同様に映像が見られた。装置構造のイメージは図2に見る通りだ。
水槽内部のノズル機構からテレビまでは高周波ケーブル(アンテナケーブル)でつながるのみで、ブースターなどの機器類は介在しない。水槽下の黒い台の中には、ポンプ装置と制御用の電気回路が入っているだけだ。
ポンプを駆動すると、海水がノズルから噴出し、放物線を描いて水槽内に落下する。ポンプの出力が安定すると、吹き上げた海水の高さも安定し、テレビに地デジフルセグメントの鮮明な番組映像が映し出された。
ほんの一瞬映像が乱れる場面もあったが、長時間連続して良好な受信ができた。ポンプ起動ボタンで「シュッ」と現れた海水アンテナは、ポンプOFFで「パッ」と消える。何度もポンプのON/OFFを確かめたが、全てほぼ数秒で映像が復旧した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
5分でわかる最新キーワード解説
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
かんぽ生命が営業報告を50分→10分に AI時代に見直すべき「データ入力」の仕組み
-
2
C言語は「危険」と言われても、専門家が「使う価値は十分にある」と言うワケ:900th Lap
-
3
M365 Copilot全庁展開で月2000時間削減 現場がAIを「使いたくなる」習慣化の仕組み
-
4
6TBファイルのサーバ移行、M365ユーザーの八雲町がSharePointでなく「あえてBox」の理由
-
5
Claude Codeに「仕事を丸投げ」して事故らないための基本運用ルール
-
6
損保ジャパン、2万人の「Gemini活用」どう管理? 推進者が語る「リスク回避」の仕組み
-
7
「カスハラ対応」を個人に任せない 取手市がAIで変えた窓口業務
-
8
社員の「セキュリティ訓練」、他社はどの程度やっている? 気になる隣の実施状況
-
9
「Claude」3倍高速化の裏で、Anthropic開発者が「あえてしなかったこと」:899th Lap
-
10
20年物の基幹システム刷新に、マクロミルがあえて「全てを変えない」と決めた理由
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー