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移動体の位置情報の活用標準「OGC Moving Features」とは?(1/4 ページ)
移動体の状況が把握できるオープンな地理空間情報記述とアクセス方法を定めた国際標準仕様「OGC Moving Features」とは一体何か?
今回のテーマは、移動体の移動状況や履歴を把握し、さまざまな用途に活用するためのオープンな地理空間情報記述とアクセス方法を定める国際標準仕様「OGC Moving Features」だ。災害対応のための人や自動車の移動状況把握からサッカー選手の動きの軌跡分析までを想定した標準は、これからのビジネスや社会にどんなインパクトをもたらすのか?
「OGC Moving Features」って何?
地図に各種の情報を重ね合わせて状況を分かりやすくするGIS(Geographic Information System、地理情報システム)はカーナビや気象予報などの身近なところに利用されている。近年は地理情報データベースと測位技術の充実により、災害対応や防災目的に導入が進んでいるが、人、自動車、航空機、船舶など移動体の状況を1つの地理情報システムに取り込むことはとても大変な作業だ。なぜなら、GPSや無線LAN測位、カメラ測位などの技術から得られる情報は、各サービス業者が独自に保有しているだけでなく、GISもオープンソースによるシステムばかりでなく各種の商用パッケージが使われており、そう簡単にデータ交換ができないためだ。
しかし特に災害対応、防災目的では時間が勝負。速やかに、APIなどにより各種システムを連携させる必要があるが、そのためには各種の位置情報とGISをまたいで利用できる標準データ形式が必要になる。そんな地理空間データと活用の仕組みの標準化を推進しているのが国際標準化団体OGC(Open Geospatial Consortium)だ。
OGCが、既存の標準に加えて新しく追加した、移動体の移動履歴に関する地理空間データ交換形式とアクセス方法が「OGC Moving Features」と呼ばれるものだ。この仕様が普及し、位置情報サービス業者とGIS業者が準拠すれば、両者のシステムのデータ利用の壁をなくし、広くオープンな情報共有やシステム間のリアルタイム連携を即座に実現することが見込める(図1)。
「OGC Moving Features」は何のための標準か
OGCは地理空間情報分野で世界520以上の企業・政府機関・大学・自治体などが参加し、国際的に最も影響力があるとされる団体。これまでにISO規格のベースとなった幾つかの標準を策定しており、その標準規格を利用した地図情報サービスは、例えば日本の行政機関による災害対応・防災に生かされていたり、Google MapなどのWebサービスの基礎となっていたりと、応用例は多岐にわたっている。
しかしこれまでのOGC標準では、特定の時間に移動体がどこにあるか(あったか)の情報を記録して検索・分析できるようになってはいたが、移動体の移動状況を把握するための移動履歴(軌跡)を迅速に理解できるデータ形式ではなかった。例えば「被災地に向かっている救急車や救援物資輸送トラックがいつ経路上の特定地点を通過したのか」のように、救援活動に肝心な情報をリアルタイムに活用することができなかったのだ。
この弱点に危機感を抱いたのが、1997年からOGCに参画していた日立製作所の研究チームだ。きっかけは2011年の東日本大震災。あの大災害の時、もし避難経路となる道路状況や、人および自動車の移動状況がリアルタイムに分かっていれば、もっと効果的な避難ができたかもしれない。またその後の避難生活においても人や自動車などの移動状況、凝集・混雑状況、到着の予想時間などが分かれば、合理的な物資輸送ができていたに違いない。
そう考えた同社は、OGC内に移動体に関する移動履歴の記述とデータアクセスの標準仕様を策定するワーキンググループの設立を提案し、2013年3月に設立されたMoving Features Standards Working Groupにおいて、仕様策定活動を開始した。当初念頭にあったのは人の移動軌跡と津波シミュレーションデータによる防災情報システムの実現だったようだが、議論はもっと汎用的な仕様の策定に向かった。
その議論は、この種の国際標準としては珍しく早期に結実した。議論開始から約2年後の2015年2月にデータ記述形式(OGC Moving Features Encoding)が標準に採択され、それから約2年後の2017年3月にデータアクセスのための方法(OGC Moving Features Access)が正式に標準としてリリースされる運びとなった(OGCへの提案は、同社と東京大学、産業技術総合研究所(産総研)が共同で行っている)。
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