RPAの威力を社長にどう訴えるべきか? 業務自動化の処方箋
「RPAは業種に関係なく、ほぼ全ての分野に適応できる。このようなツールは他にないと思っている」と豪語するのは、アビーム の安部氏。同氏は、RPAを活用している企業の悩みとその解決策を解説した。
「RPAは業種に関係なく、ほぼ全ての分野に適応できる。このようなツールは他にないと思っている」と豪語するのは、アビーム 戦略ビジネスユニット執行役員プリンシパルの安部慶喜氏だ。RPA導入を支援するアビームコンサルティングは12月7日、RPA業界の動向や同社の知見を発表。前編では、同社が指揮したRPAの導入事例や企業の導入状況を紹介した。後編となる本稿では、既にRPAを活用している企業の悩みとその解決策を解説する。
安部氏によれば「現行では多くの企業がPoC(概念実証)から本格的な導入へと移行している段階。課題に直面している」。同氏は企業が抱える代表的な悩みとして、「全社導入に向けた活用促進」と「全社展開後の運用統制強化」の2つを挙げ、“処方箋”を提示した。
課題1:RPA、全社に活用を広げるには?
RPAの導入パターンは、ある一部の部署での成功事例がうわさになり、他部署に活用が波及する「草の根パターン」と、専門に発足した部門横断チームが全社導入プロジェクトを担う「部門横断パターン」に分かれるという。割合としては前者の「草の根パターン」が圧倒的に多いが、どちらにせよ、現場業務と課題を深く知る当事者たちの改革意欲に火を点けること、そして経営層の理解を得ることの双方が大切だと強調。導入企業の事例を紹介した。
現場の改革意欲に火を点ける
現場の改革意欲に火を点けるとはどのようなことだろうか。「草の根パターン」の例として挙がったのは、NECマネジメントパートナーの試みだ。同社では、従業員にRPAによる業務効率化の効果を実感してもらうため、半年ごとに「らくらくツールサミット」と呼ばれる説明会を開催したり、社内の一角にRPAロボットを動かすことのできるコーナーを設けたりといった施策を行っている。
また、「部門横断パターン」の一例となる大和ハウスでは、各部署から集めた有志による研究会を発足し、ロボットを試験的に制作する試みを行った。中国ブリヂストンでは、各部門にRPAが威力を発揮する4つのユースケースを例示し、それに当てはまる業務の洗い出しを指示することで、1週間でRPAが適用できる30の業務を選定できたと安部氏は説明する。
社長に訴えろ! 1日数十回のExcel転記作業
現場への啓発とともに重要な要素が、経営者の理解を得ることだ。経営者に対し、デモなどを駆使しつつ、実際に業務がどのように効率化するのかを具体的に示す必要があるという。
「例えば日にMicrosoft Excelのデータを何十回も転記する業務があれば、RPAによって処理がどう変化するのか、画面例を用いて示すとよい」(安部氏)。そうしたデモに加えて、業務削減量などの定量効果はもちろんのこと、リードタイムの短縮やミスの撲滅といった定性的な効果を伝えることでより説得力が増すという。
また、同氏によれば、経営戦略実現へのインパクトという視点から訴えることも重要だ。例えば、RPAが業務を削減することで、新事業へ多くの人員をふり向けることができ、会社の成長につながると訴求することも効果がある。
課題2:運用統制、誰が受け持つ?
運用統制をどのように強化するかという課題もある。前述したように、スモールスタートでの導入事例が多いRPAだが、全社に展開する際にはRPAの構想策定、導入、運用、保守の各フェーズで統制を強化することが必要だ。「例えば、運用面を野放しにしていれば、RPAを使って仕事をしているように装うなどの不正が起こる」(安部氏)
誰が、どのくらい、何をすればよいのか。安部氏は図2で3つの型を説明した。図の右に向かうほど、全社で一元的に統制を効かせる傾向となる。「情報把握型」は、予算獲得から製品選定、業務策定、運用までを各部門に一任し、情シスなどの管理側は情報だけ把握するというもの。中間にある「支援型」は、製品の推奨や開発支援、管理など、一部分だけに全社的な統制をかけるパターンだ。また、最も右の「統制型」では、全てのフェーズを全社で一元的に管理し、「1年以内に30%の業務をRPA化しなさい」と数字での目標を課す場合もあると安部氏は説明する。
「現在、多くの企業は支援型の段階にある。今後、統制型に移行するというのが主流になるだろう」(安部氏)
RPAがITツールのハブになる
「先行して導入する企業では、RPAを単体で活用するだけでなく、あらゆる業務に展開し、OCRやAIと組み合わせたり、IoTの分野で活用したりという動きもある」と安部氏は説明する。
安部氏は、そうした情勢を背景に、RPAがアプリケーション間をつなぐ「デジタルレイバープラットフォーム」の構想を話した。経営環境の変化が激しい昨今では、エンタープライズITにも、必要なシステムをすぐに活用でき、不要になれば切り離せる柔軟性が必要だ。しかし、システムの変更には時間やコストもかかる上、その変更に合わせて業務を変えれば現場には負担がかかる。そこで、その時々に必要なアプリケーションやツールをRPAで柔軟につなぎ、全体の業務を実現するデジタルレイバープラットフォームが必要になるというわけだ。
「RPAは今後、デジタルツールをつなぐ役目を担う」と安部氏は締め括った。
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