費用は? 無料版は? いま知らないとマズい企業Webサイト常時SSL対応の基礎(2/3 ページ)
常時SSL未対応はビジネス的に大ダメージ、その理由は?
「うちには関係ない」「重要情報のやりとりはHTTPSを導入しているから問題ない」と考えがちだ。企業Webサイトの改修となると、基幹系業務システムなどと異なり、予算的にもスケジュール的にも後回しになりやすいが、現段階で「ぎりぎり」であり、今後は従来経験しなかったようなビジネス的なデメリットを受ける可能性があることに注意しておきたい。
直近の調査によると日本国内のWebブラウザシェア(PC)で多数を示すのはGoogle Chromeだ。アクセス解析サービス「StatCounter」を使った日本国内の主要なWebブラウザシェアを見るとChromeが半数近い。
ここで、Chrome利用者が常時SSL非対応のWebサイトにアクセスした場合、否応なく「保護されていない通信」と表示されようになる。
英語ではこれがもっと直接的な表現だ。「Not Secure」、すなわち「安全ではない」と表示される。もし初めて訪れたWebサイトが「安全ではない」と警告されたとしたらどうだろうか。見込み客が「ググる」行動を起こしたとき、貴社Webサイトが警告対象だったとしたら、おそらく商機を1つ逃すことになるだろう。
また、Web検索エンジンGoolgeは、常時SSL非対応のWebサイトを、行儀が悪く、セキュアではないWebサイトであると判定する方針だ。検索者に対して「比較的お勧めしたくないWebサイト」として検索順位を下げる措置を講じることを明言している。
検索結果からたどりにくいWebページはインターネットに存在したとしてもたどり着くことができないコンテンツになってしまう。Googleはどのくらい優先度を下げるかを明かしていないものの、「影響は軽微だから無視していい」と断言できないところが問題だ。
さらに、HTTPSに対応しないことで、今後のWebサイト運営でも支障が出ることが懸念されている。HTTP通信は、これまでよりも高速なHTTP/2という新しいプロトコルへの移行がはじまっている。HTTP/2は、HTTPに存在していた「レスポンスの悪さ」を解消したプロトコルでレスポンスが数倍から数十倍に高速化することができる。このHTTP/2を利用するためにはHTTPSが必須になっている。
このように、現状のWebサイト運営においても、将来的なWebサイト運営においてもHTTPSへの対応は不可避ということだ。
なぜそこまでして常時SSLが必要なのか、仕組みと理由をさぐる
そもそも常時SSLとはどんな仕組みなのか。冒頭で「インターネットへのWebアクセスの安全性を高めようという取り組み」と説明したが、もう少しだけ踏み込んで説明すると、次のような言い方ができる。
「常時SSLとは、Webサイト全体をHTTPSで保護することで、Webサイト上での盗聴、なりすまし、改ざんを防ぐ仕組みである」
従来のSSLは、Webサイトへの会員登録などのために、個人の指名や電話番号、住所などを入力するフォームが設置されたページだけに導入されることが多かった。個人情報を入力する際に、サイトが「なりすまし」や「改ざん」の被害に遭っておらず、入力した情報が盗聴されていないことを保証していたわけだ。
だが最近の脅威は入力フォームだけでなく、Webサイトのあらゆる穴を突いてくる。例えば、本物そっくりのWebサイトに誘導して、本人が気付かないうちにマルウェアをダウンロードさせたりする。Webサイトが改ざんされていたとしても、本物そっくりのURLが使われているのでそれに気付かない。
偽サイトで再ログインを促し、IDとパスワードを盗む手口も横行している。自社サイトが偽サイトへの踏み台にされ、途中で情報が盗まれる場合もある。こうした攻撃は「中間者攻撃(Man In the Middle Attack)」と呼ばれる。通信をHTTPSで暗号化していない場合は途中の経路も情報を取得できてしまうため、中間者攻撃を引き起こしやすくなるのだ。
訪れたサイトが「改ざんされておらず」「悪意のある人がなりすましたものでなく」「盗聴もされていない」ことをサイト全体で示すことはインターネット全体のユーザーが安全に利用するために極めて重要な要素だ。「個人情報を入力してもらうフォームを設置していないから関係ない」だけでは話が済まない。
自社のWebサイトが安全であり、安全に利用できることを示すことは、企業そのものの信頼を確保するためにも必要不可欠であることが分かるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IT導入完全ガイド
注目の技術やITツール。そもそもどういったモノで何に使えるのか、どんなモノを選ぶべきか、課題はあるか、といった情報を基礎から徹底解説します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
C言語は「危険」と言われても、専門家が「使う価値は十分にある」と言うワケ:900th Lap
-
2
M365 Copilot全庁展開で月2000時間削減 現場がAIを「使いたくなる」習慣化の仕組み
-
3
かんぽ生命が営業報告を50分→10分に AI時代に見直すべき「データ入力」の仕組み
-
4
損保ジャパン、2万人の「Gemini活用」どう管理? 推進者が語る「リスク回避」の仕組み
-
5
Claude Codeに「仕事を丸投げ」して事故らないための基本運用ルール
-
6
6TBファイルのサーバ移行、M365ユーザーの八雲町がSharePointでなく「あえてBox」の理由
-
7
「カスハラ対応」を個人に任せない 取手市がAIで変えた窓口業務
-
8
「Claude」3倍高速化の裏で、Anthropic開発者が「あえてしなかったこと」:899th Lap
-
9
社員の「セキュリティ訓練」、他社はどの程度やっている? 気になる隣の実施状況
-
10
20年物の基幹システム刷新に、マクロミルがあえて「全てを変えない」と決めた理由
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー