“野良Slack”を組織に取り込み決裁時間を大幅削減 DeNAの現場はどう変わったか(2/3 ページ)
Slackの利用を部門から組織に拡張、既存アカウントの統合、運用ルールはどうする?
DeNAの(経営企画本部 企画統括部 IT戦略部 部長)大脇智洋氏は、「もともとSlackの利用は自然発生的に始まりました。Slackは外部サービスとの連携が柔軟で、最初はエンジニアの間で利用が広がりました。Slackはさまざまな絵文字を使ったレスポンスが可能で、カジュアルなコミュニケーションができるため、徐々に事務職にも広がりました。しかし、全社統一のチャットツールとしてしっかりと定義できていませんでした」と当時の状況を語る。
現場でSlackが受け入れられていることが分かったため、DeNAはSlackを組織統一のコミュニケーションツールにしようと考え、部署部門を横断したコミュニケーションが可能な「Slack Enterprise Grid」の全社導入に踏み切った。既存のSlackアカウントも基本的には全て統合した。
「Slack Enterprise Gridにはコミュニケーションの他、業務や運用管理を効率化するさまざまな機能が備わっています。他のビジネスチャットツールでも優れた機能を備えたものはありますが、Slackは他に比べて特に業務システムとのインテグレーションが容易で、それが全社導入に踏み切るポイントとなりました」(大脇氏)
同社にとって、Slack Enterprise Gridの導入によって得られた効果は単にチャットツールの標準化だけではない。組織としてのコミュニケーションやコラボレーションを促進させ、かつ業務の効率化にも一役買い、結果として社内改革の重要な一手になった。コミュニケーション以外に、DeNAの現場は何がどう変わったのか。次に、解消された課題と、得られた効果について説明する。
現場のコミュニケーションから全社向けのアナウンスまで全てSlackで
事業部門で個別に運用されていたワークスペースを全てSlack Enterprise Gridのワークスペースに移行し、過去のチャット内容も全て移行した。そして、全従業員が会話に参加できる「DeNA ALL」というワークスペースを新たに作成した。全社向けのアナウンスや連絡事項などを簡単に全従業員に周知できるようになった。また、共有チャンネルを作成し他のワークスペースのユーザーとも情報交換や情報共有ができるようにした。
アカウントの統合と整理、ゲストアカウントの管理
原則的に1人1アカウントとし、1人が複数アカウントを持つことを禁止した。これが、移行において骨の折れるプロセスだったという。現在、Slackの運用を担当する、DeNA(経営企画部 企画統括部 IT戦略部 技術推進グループ)の佐藤大輝氏は「全社導入に当たり、まずワークスペースとアカウントのリストをSlackの日本法人から取り寄せ、存在するアカウントを全て確認しました。重複アカウントの有無も確認しながら、順次Slack Enterprise Gridに移行しました。チームによってはドメイン名の定義が異なるため、それを調整する作業にも時間を要し、全てのアカウントの移行が完了するまでに約3カ月~4カ月かかりました」と当時の状況を語る。
全社導入後は、アカウントの重複作成を防ぐための策として、アカウントを作成する場合はワークフローツールとして「kintone」を活用し、申請するフローに変えた。
同社でSlackを利用できるのは正社員と契約社員、アルバイト、派遣社員、業務委託のメンバーとしている。情報管理の観点から、業務委託のメンバーだけは全社向けワークスペースのDeNA ALLには参加できないようにしている。
また、開発の現場ではパートナー企業に所属するエンジニアとコミュニケーションが発生するシーンもあるため、社外ユーザーをゲストとして参加できるようにした。Slackのゲストアカウントには2種類の権限があり、特定のチャンネルのみに参加できる「シングルチャンネルゲスト」(無償)と、複数チャンネルに参加できる「マルチチャンネルゲスト」(有償)がある。ゲストアカウントにはドメイン名の頭に「EXT-」と付け、社外のメンバーであることが分かるようにした。各ワークスペースの作成者が管理者となり、運用の責任を負うルールにした。必ずしも役職者や管理職が、ワークスペースの管理者となるわけではない。
こうした運用ルールを設けたことでアカウントの重複発生問題は解消し、社内と社外メンバーのアカウントや運用ルールも整理でき、情報漏えいを防止するリスク対策にもなった。
Slack利用に関する組織ルールを策定
Slackを利用する上での基本ルールとして、法令に反するものや誹謗中傷、公序良俗に反するもの、厳密情報、個人情報に関わる投稿は禁止とし、社内に周知した。また、全社共通のワークスペース(DeNA-ALL)のチャンネル名の頭には用途を示すプリフィックスをつけた。例えば、問い合わせ専用チャンネルであれば「help-」、部署を横断したプロジェクトであれば「prj-」、特定のグループに関連する話題や活動であれば「team-」、特定のトークテーマに沿って話すチャンネルであれば「topic-」といった具合だ。ルールを整理したことで、チャンネルの目的も分かりやすくなり、情報交流の促進にもつながった。
面倒だったログイン認証も解消、有事の際のログ提出が可能に
Slack Enterprise GridはSAMLベースのシングルサインオンに対応しているため、面倒なログイン認証も解消した。アクセスログや監査ログの取得にも対応している。こうしたログは、万が一の訴訟時に電子証拠としても利用できるため、セキュリティとコンプライアンス強化にもつながった。
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