他人の業務をワガゴト化するために中小ゼネコンが考えた秘策(2/2 ページ)
レコード数は約30万、日報データも企業の貴重な情報資産
SODAをリリースした直後に課題となったのがアクセス集中によるシステムダウンだ。時間帯によっては120人を超える従業員が一斉にSODAにアクセスすることもある。そのたびに、ネットワークの負荷が高まりシステムダウンが頻発したという。システムのチューニングやハードウェア構成を見直し改善に努めるなど気苦労も多かったという。
また、SODAを使って報告を習慣化させるのには骨を折ったという。導入後もなかなか利用が定着せず、報告があったとして良い内容だけを書き、実態に即した報告ではなかった。利用を定着させる工夫として、SODAを活用した業務報告を全社目標とし報告数を集計してSODAの利用状況を可視化した。上長は部下の報告に対して積極的にコメントバックするように努めた。
情報を経営資源として考える三和建設は、「できるだけ多くの情報を全社で共有すること」「経営資源と仕事のプロセスを正確かつタイムリーに見える化すること」の実現に向けて全社でSODAを活用した。
SODAを導入して9年以上経過した2019年現在、報告のレコード数は約30万件(約6700万文字)にも上り、社内の“ビッグデータ”になっている。新入社員も積極的に活用するようになった。現場作業で何か疑問に思ったことがあれば、他の従業員に聞くのではなくまずSODAの投稿を検索し、過去に類似の質問が寄せられていないかどうかを確認することで自己解決の手段としても一役買っているという。また、報告に対するコメントも直属の上長だけでなく他部署あの従業員からのコメントも寄せられるようになった。
森本氏は「SODAに従業員が書き込んだ日報の内容や、そこから発生したコミュニケーションのやりとりなどを蓄積することで、情報共有ツールとしてだけでなく業務で役立つ情報のデータベースにもなっている」と語る。
日報を掲示板形式とすることで、情報の伝達を速め、従業員同士のコミュニケーションを誘発する。
もともとはSFAとして開発されたSODAだが、現在はコミュニケーションツールとしての役割が多くを占めているという。従業員同士がよりカジュアルに情報を共有できるよう、現在「新SODA」を開発中だ。2020年1月の運用を目指す。
働き方改革で大切なのは従業員の「働きがい」
コミュニケーションの活性化に加え、同社の経営理念や企業方針を理解し共感できる学生を求めて、新卒採用にも多くの時間を割いている。
従業員教育にも力を入れており、「社内大学」や「SANWAアカデミー」と名前を付けて、月に1回講義を開催している。森本氏は「研修を実施するとなると、その内容は思い付きになりがち」と指摘するが、三和建設の研修では、最初に体系立てたシラバスをきちんと作って、その通りに進めているという。研修内容に一貫性を持たせることで、体系立てた知識や技能をきちんと身に付けられるというわけだ。
三和建設では「働き方改革」という言葉を社内ではほとんど使っていない。それでもあえて「働き方改革」で何が大切かと考えると「働きがい」だと森本氏は語る。「仕事の量の制限も大切だが、仕事の『質』の方が重要だ。三和建設では同じ働いている時間に、どれだけの従業員が働きがいを持って楽しくできるかという「質」を追求する取り組みを進めている」という。
そして、従業員それぞれの個性に向き合うことも必要だという。「残業したくない人が残業しなくても良い環境を用意するのは当たり前。その一方で『今の時期は一人で集中してやりたい』『やり切りたい」とか、自分で『成長したい』という意欲があるなら、事由によって上限はあるが、残業も認めるという具合に、個性に向き合うように会社を運営しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
イベントレポートアーカイブ
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Gemini Notebook」で始める「AI×自動化」実践ガイド
-
2
止まらない不正アクセス、広がる情報漏えい 大手企業・公的機関を襲った10事案
-
3
今、IT資格を取るならどれ? ランキングに見る「急浮上の資格」と「不動の資格」
-
4
48年も愛された名作CPU「Z80」を、引退に追い込んだ“抗えない事情”
-
5
「言い訳文化」から脱却のNECが足立区に伝授した生成AI活用術とは データ活用“逆算”の鉄則
-
6
同業の被害で初めて気付く漏えい 「アラート不発」を起こす攻撃の正体
-
7
相次ぐ不正アクセス、でもセキュリティ訓練は「やりっぱなし」の悲惨な実態【企業調査】
-
8
生成AI導入に失敗する企業「6つの共通点」 情シスヘルプデスクの負担を減らす設計とは
-
9
Claude Codeに「仕事を丸投げ」して事故らないための基本運用ルール
-
10
無料で国産生成AI「Sarashina」が利用可能に APIとチャット機能のベータ版を公開
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー