退職時の「あの人しか知らない顧客データ」を守るSaaSが登場
退職に伴う個人の暗黙知の消滅は大きな課題だ。Mono-Recordsは、地図上の顧客情報を蓄積・共有するSaaS「PinStock」を正式リリースした。訪問記録を可視化し、退職時の情報消失や引き継ぎ負担を減らす。
退職に伴う個人の暗黙知の消失は、企業にとって大きな損失だ。そのような課題の解決を求めてIT部門や情シスに相談がくることも多い。
Mono-Recordsは外回り営業の顧客情報を地図上で共有するSaaS「PinStock」をリリースした。PC・スマホで使用可能で、訪問先や担当者、交渉経緯などの記録を個人の記憶や紙のリスト、「Microsoft Excel」から、チームとして蓄積できるデータへ移す狙いだ。
退職で失われる顧客情報をチーム資産として蓄積
開発の背景には、担当者の退職に伴い、顧客情報や現場で培われた知見が社内から失われてしまうという課題があった。Mono-Recordsは、訪問先や交渉経緯など、外回り営業で得た情報が担当者の手元にだけ置かれ、人員交代のたびに蓄えたエリア情報が失われる状況を問題と捉えた。
同製品は、代表取締役の青木拓也氏が営業時代に「Google My Maps」で訪問先を管理した経験が開発の原点になっているという。地図にピンを残す方法は次の訪問先や手薄な地域を把握しやすいものの、地図やメモの作り方は担当者ごとに異なり、退職時の引き継ぎには限界があった。そこで、地図の使いやすさを残しつつ、記録を当初からチームの資産として蓄える仕組みを目指した。開発では機能を増やすより、地図へのピン登録と訪問時のチェックインに操作を絞った。
顧客登録は、スマホアプリの地図をタップしてピンを置き、顧客名を入力する。住所と郵便番号はピンの位置から自動入力され、写真やメモ、交渉ステータスも保存できる。断られた店舗や交渉のキーパーソンが不在だった訪問先も記録でき、エリアの『攻め残し』を地図上で確認できる。
訪問時は対象のピンをタップしてチェックインする。「誰が・いつ・どこを」訪れたかを自動記録し、日報用の転記を不要とする。設定日数を超えて訪問がない顧客は「要フォロー」として管理画面に表示され、定期巡回時の訪問漏れを防ぐ。日数は任意で設定可能だ。
PC管理画面ではマネージャーがチーム全員の訪問状況を地図で確認できる。担当者別の訪問件数や地域別の状況、長期間訪問がない顧客を同一画面に表示し、記録を基に営業エリアを割り振れる。位置情報の共有は各担当者がONとOFFを切り替える。
製品は、Appleの「App Store」と「Google Play」のスマホアプリにも対応している。料金は月額1万6500円で5アカウントを含む。追加アカウントは1アカウントにつき月額880円。14日間の無料トライアルを用意する。
青木氏は、営業の引き継ぎ問題の根底に、記録が個人に属する構造があるとの考えを示す。担当者が日常的に地図を見て訪問する動作を記録へ変え、特別な入力作業を増やさず、顧客情報をチーム内に蓄積する状態を目指す考えだ。人員が入れ替わっても営業活動が止まらない組織を地図から増やす方針を示した。
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