札幌市が中小企業の「ITツール使いこなし」まで支援 「入れたのに使えない」を解消へ
ITツールを導入しても、現場で十分に使いこなせなければ業務デジタル化の成果にはつながりにくい。札幌市は、こうした導入後の課題に対応するため、市内中小企業を対象に専門家が活用を支援する新コースを始める。
ITツールを導入すれば、企業のDXは進むのか。札幌市が市内中小企業を対象にDX支援を拡充する背景には、「ITツールを導入しても十分に使いこなせない」「導入後のフォローが難しい」といった課題がある。ツールの導入だけでなく、その後の活用まで支援することで、企業のDXを後押しする。
札幌市は2026年9月2日、国の「デジタル化・AI導入補助金(令和8年度申請分)」の交付決定を受けた市内中小企業を対象に、「ツール利活用促進コース」の受付を開始した。専門家が導入済み、または導入予定のITツールの活用を無料で支援し、「DX推進計画」の策定まで伴走する。
「導入しただけ」で終わるDX 札幌市が見た中小企業の課題
札幌市は2026年度から、市内中小企業のDXを支える伴走支援と補助金を組み合わせた取り組みを始めた。労働生産性の向上と賃上げの早期実現を目的とし、これまで専門家によるDX推進計画の策定などを支援してきた。
一方、事業を実施する過程やITベンダーへの聞き取りを通じて、ITツールを導入しても十分に使いこなせないことや、導入後のフォローが難しいことが課題として見えてきた。これを踏まえ、札幌市は今回、ITツールの「導入」だけでなく「導入後の活用」に焦点を当てた新たな支援を始める。
国の補助金交付決定企業を対象に、専門家がIT活用を支援
新設する「ツール利活用促進コース」は、国の「デジタル化・AI導入補助金」の交付決定を受けた市内中小企業が対象となる。
導入済み、または導入予定のITツールについて、専門家が活用方法を支援する。ツールの効果を高めるためのDX推進計画の策定にも伴走する。札幌市は、ITツールを導入して終わりとするのではなく、実際の業務で活用し、持続的な成長やDXの推進につなげることを目指している。
導入前から導入後まで、2つの支援コースを用意
札幌市は企業の検討段階や目的に応じて、2つの支援コースを用意している。
「ツール利活用促進コース」は、国の「デジタル化・AI導入補助金」の交付決定を受けた企業を対象に、導入済み、または導入予定のITツールの活用を支援する。
一方、「DX・賃上げ加速化スタートコース」は、これからITツールを導入する企業が対象だ。導入前の課題整理からDX推進計画の策定、ツール選定、補助金申請までを専門家が支援する。これからITツールを導入する企業には導入前から、既に導入した企業には導入後の活用まで、企業の段階に応じた支援を用意する格好だ。
最大225万円、別制度では最大500万円を補助
札幌市には、従来の「DX・賃上げ加速化スタートコース」もある。これからITツールを導入し、業務効率化や生産性向上、従業員の賃上げを目指す市内中小企業が対象となる。専門家が課題整理、DX推進計画の策定、ツール選定、補助金申請までを支援する。
申請可能な制度として、最大225万円の「札幌市デジタル化・AI導入促進補助金」と、最大500万円の「札幌市DX・賃上げ加速化補助金」がある。同じ事業では複数の支援コースに応募できない。
「導入」から「使いこなし」へ DX支援の焦点に
企業のDXでは、ITツールを導入すること自体がゴールではなく、実際の業務でどのように活用し、業務効率化や生産性向上につなげるかも重要になる。
今回の札幌市の取り組みは、こうした導入後の課題を踏まえ、専門家による伴走支援を活用してITツールの利活用を後押しするものだ。
中小企業のDXでは、ツール選定や導入費用への支援に加えて、導入後に現場で使いこなすための支援をどう組み込むかも、今後の論点になりそうだ。
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