あいち銀行が経理DXを本格化 LayerXと「請求書受領から振込まで」をつなぐ
紙やPDFの請求書を受け取り、Excelに転記して承認、振込データを作成する。企業の経理現場には今なお手作業が残る。あいち銀行はLayerXと組み、請求書の受領から承認、振込までをデジタルでつなぐ取り組みに乗り出す。
請求書を受け取ってから、社内で申請・承認し、振込まで完了する。経理・財務部門にとって日常的な業務でありながら、その過程には紙や「Excelや」PDF、手入力などが伴い、担当者の負担や入力ミス、支払漏れのリスクが残っている。
特に複数拠点を持つ企業や取引先の多い企業では、請求書の回収・集約から支払予定の管理、承認、振込データの作成までに多くの確認作業が発生する。インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も求められるなか、単に請求書を電子化するだけでなく、受領から支払いまでの業務プロセスそのものを見直す必要性が高まっている。
こうした課題に対し、LayerXとあいち銀行は2026年9月24日、あいち銀行の法人決済プラットフォームサービス「Arch Bridge」に、LayerXの「バクラク請求書受取」を組み込み、同年10月1日から提供すると発表した。請求書の受領から申請、承認、支払予定の管理、振込データ連携までをデジタルでつなぎ、地域企業の経理業務の効率化を支援する。
請求書の「受け取り」だけでなく、支払いまでつなぐ
今回の取り組みで重要なのは、請求書を単独でデジタル化するのではなく、後工程となる決済・振込業務までつなげる点だ。
Arch Bridgeは、請求書DXサービスと、TISIの「DX Connect Gate」、あいち銀行の法人インターネットバンキングで構成される。入口となるバクラク請求書受取では、紙やPDF、メール添付などで届く請求書を一元的に受領。AI-OCRによって請求元や金額、支払期日などをデータ化し、オンライン上で申請・承認まで進められる。
さらに、受領状況や承認状況、支払予定も一元管理。承認済みの支払データは「DX Connect Gate」を介して決済・振込業務へ連携し、あいち銀行のインターネットバンキングで振込手続きにつなげる。
これにより、請求書の内容を別のシステムやExcelへ転記する作業を減らし、入力ミスや支払漏れの抑制を図る。請求書などの証憑だけでなく、申請・承認・支払状況もデータ上で確認できるため、月次の支払管理や監査対応、内部統制の整備にもつなげる考えだ。
「システム導入」だけでなく、業務そのものを見直す
今回の協業では、単に新しいシステムを導入するだけではなく、導入前の業務整理も重視する。
あいち銀行は、地域企業との接点や金融に関する知見を生かし、経理・支払業務の課題を把握した上で、業務プロセスの整理やデジタル化、BPR(Business Process Re-engineering)を支援する。一方、LayerXはバクラク請求書受取の提案から導入、活用までを支援する。
銀行が持つ顧客接点・金融ノウハウと、LayerXが持つプロダクトやAI技術を組み合わせることで、何を導入するかだけではなく、「現在どのような業務が発生しているのか」「どこに手作業や重複入力が残っているのか」といった業務プロセスそのものを整理しながらデジタル化を進める狙いだ。
東海地域には製造業をはじめとする中堅・中小企業が集積しており、企業ごとに異なる経理・支払業務をどこまで効率化できるかが、今後のポイントになる。
請求書DXからバックオフィス全体の改革へ
LayerXとあいち銀行は今後、請求書の受領や支払業務のほか、企業ごとの課題に応じてバックオフィス全体のデジタル化やBPR、経営管理の高度化まで支援範囲を広げる方針だ。
今回の取り組みは、請求書を電子化するという個別業務の効率化だけでなく、請求書の受領から承認、決済、振込まで分断されていた業務を1つの流れとして捉え直すものだ。
紙やExcel、手入力を前提としてきた経理業務をどこまでデジタルでつなげられるか。金融機関と業務SaaSが組むことで、地域企業のバックオフィス改革をどこまで進められるかが注目される。
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