NTTドコモ、「正しく質問させる」をやめ、“聞き返すAI”で変える顧客対応
NTTドコモが、顧客の短い質問から意図をくみ取り、必要な手続きへ導く対話AIを導入した。生成AIが顧客に聞き返しながら情報を絞り込むことで、FAQを探す負担を軽減。AIによる顧客対応の本番運用を支える仕組みも整える。
「料金変更」「プラン変更」など、顧客からの問い合わせは、必ずしも具体的な文章で寄せられるとは限らない。短い言葉だけでは顧客が何を求めているのかを特定しにくく、正確な情報を案内しようとすると説明が長くなる。結果として、顧客自身が必要な手続きや情報を探し出すまでに手間がかかる。
特に通信サービスでは、契約内容や料金プラン、適用条件などが複雑化している。オンライン手続きの選択肢が増える一方で、顧客が前提を省いたまま質問しても、適切な情報へ導ける問い合わせ対応の仕組みが求められている。
こうした課題に対し、PKSHA Technology(以下、PKSHA)は、NTTドコモの契約・料金手続き窓口「オンライン手続きサポート」に、AI SaaS「PKSHA ChatAgent」の対話AIエージェント機能を提供した。
顧客に「正しく質問させる」のをやめる 対話AI導入の狙い
従来のチャットでは、短い入力だけでは質問の意図を絞り込みにくく、正確な情報を提示しようとすると案内文が長くなる点が問題だった。
PKSHA ChatAgentの対話AIエージェントは、生成AIで顧客とやりとりし、質問の意図を確認する。手続き情報やFAQを参照しながら、顧客に必要な情報を絞り込んで案内する仕組みだ。
例えば「料金変更」と入力された場合、AIが対象となる回線や希望時期などを確認し、該当する手続きへと案内する。顧客側で状況を整理したり、専門用語を調べたりする負担を抑え、普段使っている言葉のまま問い合わせられるようにする。
だが、生成AIを顧客対応に利用する場合、アクセス集中などによって応答に時間がかかる可能性がある。問い合わせが集中する時間帯でも安定した応答を維持できるかは、AIを本番の顧客接点に組み込む上での課題の一つになり得る。
PKSHAはこの点に対応するため、処理能力を事前に確保する「レスポンス安定化」オプションを提供する。混雑時の待ち時間を抑え、定型的な問い合わせをAIが受け持つことで、オペレーターが個別性の高い相談に対応する時間を確保しやすくする。
生成AIの活用が実証段階から本番運用へ移行する中、通信分野をはじめとする各業界では手続きのオンライン化が進んでいる。その一方で、手続きの種類や提供条件が増え、顧客が必要な情報を自力で探し出すことは困難になっている。
PKSHAは「PKSHA ChatAgent」によって、これまで手続き窓口における顧客の自己解決を支援してきた。今回の対話AIエージェントでは、顧客が質問の仕方を工夫するのではなく、AI側が対話を通じて必要な情報を確認することで、より自然な問い合わせ対応を目指す。
今後、PKSHAは対話AIエージェントを通信をはじめとする各業界の手続き窓口へ順次展開する方針だ。時間帯を問わず必要な案内へたどり着き、自分の都合に合わせて手続きを進められる環境の実現を目指す。
PKSHA ChatAgentは、PKSHAグループの深層学習と自然言語処理を活用した対話エンジン。累計対話回数は7.5億回を超える。Webサイトに数行のタグを埋め込むことで導入でき、24時間365日の顧客対応や社内ヘルプデスク、問い合わせ対応の省力化、非音声サポートチャネルの拡大を支援する。
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