「カスハラ対応」を個人に任せない 取手市がAIで変えた窓口業務
カスタマーハラスメント対策が企業・自治体の義務となる中、現場担当者だけに対応を委ねることは難しくなっている。AIによるリアルタイム監視を導入した取手市の取り組みから、企業が考えるべき新たな対策の形を探る。
顧客や住民と直接向き合う窓口業務では、担当者が精神的なプレッシャーを感じる場面がある。特に相談室や面談室など、外部から状況を把握しにくい閉鎖的な空間では、問題が発生した際に周囲へ助けを求めることが難しい。
茨城県取手市でもこうした状況が課題になっていた。1人で相談に対応せざるを得ず、職員の不安や心理的負担が大きかったという。
カスハラ対応、現場担当者だけでは限界に
こうした課題に対して取手市が正式導入したのが、AI音声認識と感情解析を活用したカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)対策システムだ。同市は2025年11月から約3カ月間、市民相談窓口と健康福祉部の面談室でテスト運用を実施し、2026年10月1日から正式運用を開始した。
背景にあるのが、カスハラ対策を組織的な課題として捉える必要性の高まりだ。2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法は、全ての企業や自治体にカスハラ防止措置を義務付けた。地方公共団体についても、必要な措置を講じるよう総務省から通知されている。
ここで重要なのは、カスハラ対策を「問題のある顧客にどう対応するか」だけで考えないことだ。
組織に求められるのは、従業員が不適切な要求や威圧的な言動を受けた際に状況を把握して支援する仕組みだ。これまでの「担当者の経験や会話術」に依存した対応から、検知や記録、エスカレーションを組織として支える体制への転換が必要になっている。
取手市がAIで変えたのは「監視」だけではない
同システムは相談中の音声をAIがリアルタイムにテキスト化して、不適切な言葉や感情の高まりなどを検知すると別室の職員に通知する仕組みだ。室外の管理職が相談内容をモニタリングできるほか、現場からもヘルプを要求できる。
カスハラの検知キーワードは厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」をベースにしており、独自のキーワードも追加できる。相談記録や履歴の管理、発話されたキーワードに応じた関連資料の自動表示にも対応する。
企業ITで「リアルタイム支援」という発想が必要に
この取り組みから組織が考えるべきなのは、AI導入そのものではない。
発生したハラスメントを後から記録するだけでは、現場の従業員をすぐには守れない。取手市は音声認識や感情解析を使って「問題が深刻化する前の状況把握」と「管理職へのエスカレーション支援」に取り組んでいる。
これは企業の窓口業務にも応用できる考え方だ。コールセンターであれば、通話内容を後から確認するだけでなく、対応中の会話から特定のキーワードを検知して管理者が状況を把握する。店舗や対面窓口でも、担当者だけでは判断しにくい状況を周囲の管理者がリアルタイムに把握できる仕組みを検討できる。
もちろん、AIによる検知が常に正確とは限らず、誤検知やプライバシー、音声データの取り扱い、従業員や顧客への説明など、導入時に検討すべき課題は残る。AIに判断を全面的に委ねるのではなく、あくまで人による判断や支援につなげる仕組みとして設計することが重要だ。
カスハラ対策の義務化をきっかけに、企業の窓口業務は「担当者に任せる仕事」から「組織とITで支える仕事」に変わる可能性がある。取手市の取り組みは、その転換を考える上で大きなヒントになるだろう。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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