伊藤忠インタラクティブが「Claude」活用研修 「AIを使う」から「業務を任せる」へ
伊藤忠インタラクティブは、ClaudeやClaude Codeを使った法人向け「AIエージェント実装研修」の提供を開始する。一般的な生成AIの使い方ではなく、提案書作成や調査レポートなど、受講者自身の業務を題材にAIエージェントを構築し、業務の自動化を目指す。
AIに文章を書かせることと、文章作成に伴う一連の業務を任せることは同じではない。情報収集からデータ整理、成果物の作成まで自動化するには、業務の手順やルールを整理してAIが実行できる仕組みに落とし込む必要がある。
伊藤忠インタラクティブは、こうしたAI活用の実装力を養う法人向け研修「AIエージェント実装研修」を開始する。「Claude」および「Claude Code」を使って、受講者が自らの業務を題材としてAIエージェントを構築する。
生成AIを使っていても、業務プロセスの自動化に至らない理由
提案書の作成を例に考えると、必要な情報の収集やデータの整理、構成案の作成、文章の執筆など、完成までには複数の工程がある。生成AIで文章の初稿を作成できても、その前段階の情報収集やデータ整理まで連携させるには、それぞれの作業手順や判断基準を整理してAIが実行できる形に設計する必要がある。
こうした業務の自動化では、AIに何を指示するかだけでなく、どの作業を任せ、どの情報を使い、どの段階で人が確認するかを具体化することが重要だ。単発の指示で回答を得る使い方とは異なり、業務の流れそのものを見直し、複数の工程を連携させる設計力が求められる。
伊藤忠インタラクティブが提供するAIエージェント実装研修は、こうした業務への実装に重点を置く。あらかじめ用意された教材を一律に学ぶのではなく、受講者が実際に改善したい業務を題材に、AIエージェントを構築するプログラムだ。
研修で扱う業務は、提案書の初稿作成、調査レポートの作成、オウンドメディアの運営、データ集計、議事録処理などを想定している。事前アンケートなどで受講者の業務課題やAI利用の習熟度を把握し、受講企業の実務に即した題材を選定する。
研修では、AnthropicのClaudeやClaude Codeを使って業務手順やルールを再利用可能な形にまとめる「エージェントスキル」の作成や、社内データや外部ツールとの連携などを扱う。受講者自身がエージェントを構築し、個々の作業を支援するだけでなく、複数の工程を実行する仕組みへと発展させることを目指す。
例えば、提案書作成を題材とする場合、文章の生成だけでなく、その前段階にある情報収集やデータ整理なども含め、どこまでを自動化の対象とするかを検討できる。実際にどのような工程を自動化するかは、事前のヒアリングを踏まえて決定する。
研修で構築した成果物は、終了後もチーム内で再利用・引き継ぎできる形で残すことを想定している。特定の社員が個人的に作成したプロンプトや設定に依存するのではなく、業務手順やルールを共有可能な形に整理し、組織内で活用を広げることを狙う。
なお、研修では、企業の利用環境やセキュリティ要件に応じて、「Microsoft Copilot」や「Gemini」「ChatGPT」などを使うカリキュラムにも対応する。研修はオンライン、対面、ハイブリッド形式で実施でき、内容は受講企業ごとに設計する。
受講に当たっては、ヒアリングと事前アンケートを経て企業ごとのカリキュラムを設計し、ハンズオン研修を実施する。その後、成果物の共有や引き継ぎ方法を検討し、定着に向けたレビューで評価する。
AIエージェントの導入では、研修後の運用設計も課題に
AIエージェントを構築できるようになっても、それだけで業務改革が実現できるわけではない。実際の業務で継続的に利用するには、どの工程をAIに任せるのか、どの段階で人が内容を確認するのか、利用するデータをどう管理するのかといった運用面の設計も必要となる。
特に、社内情報や外部サービスと連携するエージェントでは、アクセス権限や機密情報の取り扱い、出力結果の確認方法なども検討事項となる。自動化の対象を選定する際には、効率化の効果だけでなく、誤処理が発生した場合の影響や、人による確認が必要な工程も考慮する必要がある。
また、受講者が作成したエージェントを組織内で再利用する場合は、作成者以外でも仕組みを理解し、保守・改善できる状態にしておくことが重要だ。研修の成果を一時的な個人の取り組みで終わらせず、チームや組織の業務改善につなげるには、成果物の共有に加え、運用ルールや改善を続ける体制も求められる。
今回の研修は、受講者自身が業務の自動化に取り組み、実装した成果物を残すことを目指すものだ。企業にとっては、生成AIの利用方法を学ぶ段階から、業務のどこを自動化できるかを具体的に検討し、実装につなげるための選択肢となる。
生成AIの活用を個人の作業効率化にとどめず、業務プロセスの変革へと進めるには、技術の習得と業務の設計を結び付ける必要がある。AIエージェントの導入を検討する企業には、どの業務を自動化するのか、実装後にどう運用するのかまでを見据えた取り組みが求められる。
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