Microsoftの“あのキャラ”がまさかの復活? 公式「X」乗っ取り事件の珍騒動:901st Lap
Microsoftの公式「X」アカウントに、懐かしのキャラクターがまさかの登場……、と思いきや、どうやらMicrosoftが公式に復活させたわけではなかった。一体、誰が、何のためにクリッピーを利用したのか?
2026年10月上旬、Microsoftの公式「X」アカウントが第三者に乗っ取られ、 「Clippy」(クリッピー)を利用した暗号資産トークンの宣伝に悪用された。乗っ取り犯は、クリッピーを名乗る「@clippymsftcto」というアカウントを公式アカウントでフォローし、その投稿をリポストした。
クリッピーとは、目と眉毛が付いたクリップ型のキャラクターだ。日本では、ネットミーム「お前を消す方法」で知られるイルカの「カイルくん」が有名だが、米国ではクリッピーが広く親しまれていた。
そんなクリッピーがMicrosoftの公式Xアカウントでまさかの復活──と思いきや、Microsoftとは無関係の暗号資産を宣伝するために利用されていた。なぜ、乗っ取り犯は、今さら懐かしのOfficeアシスタントを利用したのか?
この件について、Windows関連のニュースサイト「Windows Central」は2026年10月2日、「Hackers hijacked Microsoft's X account to promote a Clippy cryptocurrency」という記事を公開して解説した。公開後、Microsoftの説明を受け、10月5日に記事を更新した。
記事によると、乗っ取り犯が投稿したのは、「50万件の『いいね』が集まればクリッピーを復活させる」という趣旨の内容だったという。Microsoftの公式アカウントから発信されれば、かつての人気キャラクターを使った企画や、復活に向けた話題作りに見えても不思議ではない。
だが、@clippymsftctoはMicrosoftの公式企画ではなく、クリッピーを題材にした暗号資産トークン「$CLIPPY」に関連するアカウントだった。Microsoftの公式Xアカウントはプロフィール画像までクリッピーに変更され、1300万人を超えるフォロワーに無関係な暗号資産をMicrosoft公認のものだと思わせてしまった。なお、@clippymsftctoのアカウントは、その後Xによって停止された。
騒動の最中には、Microsoftがクリッピーに関する投稿を謝罪し、暗号資産を支持していないと説明する投稿も掲載された。これで事態が収まったかに見えたが、実はこの謝罪投稿も偽物だったのだ。Windows Centralが記事を更新し、最初のクリッピー関連の投稿だけでなく、その後の謝罪投稿も不正に発信されたものだったことを明かした。
Microsoftの広報担当者は、米国の技術系ニュースメディア「The Verge」などに対し、Xアカウントへの不正アクセスを確認し、「Microsoftが発信したものではない投稿が含まれていた」と説明した。アカウントは既に保護され、不正な投稿も削除されており、同社は引き続き侵入の経緯を調査しているという。
つまり攻撃者は、暗号資産を宣伝する投稿だけでなく、事態を収めるための謝罪に見える投稿まで、公式アカウントから発信していたことになる。偽情報を流した後に、もっともらしい説明まで自ら投稿すれば、見る側は「Microsoftが問題を把握し、対応した」と受け止めるかもしれない。しかも、謝罪文には、Microsoftのブランドや知的財産に関する情報は公式ルートで確認するよう求める一節があったという。発信元そのものが乗っ取られていたのだから、何とも皮肉な話だ。
今回、アカウントがどのような方法で乗っ取られたのかは、記事が公開された時点では明らかになっていない。$CLIPPYを名乗る暗号資産を購入した人の数や、金銭的な被害の規模も分かっていないため、具体的な攻撃手法や被害額については推測できない。ただし、Microsoftの公式アカウントが暗号資産の宣伝に悪用され、同社が不正アクセスを認めたことは確かだ。
企業や著名人のSNSアカウントを乗っ取り、暗号資産を宣伝する手口自体は珍しいものではない。公式アカウントには、知名度だけでなく、長年かけて築いてきた信用と多くのフォロワーがいる。攻撃者はその信用を利用することで、見知らぬアカウントから同じ内容を投稿するよりも、多くの人に情報を届けられる。
今回の件では、「クリッピー」というキャラクターを利用したことも、うまい手口だったと言える。懐かしい名前を見れば、「本当に復活するのか!」「Microsoftが面白い企画を始めたのか?」と思う人もいるだろう。驚きや懐かしさが先に立つと、内容をよく確かめる前に、続きを読んだり共有したりしたくなるものだ。攻撃者はアカウントの権限だけでなく、クリッピーに対する人々の懐かしさや親しみも利用したのだろう。
もちろん、公式アカウントの投稿を全て疑がっていては、SNSは使いにくい。だが、暗号資産の購入や送金、外部サイトへのログインなどを促す投稿については、たとえ有名企業の認証済みアカウントから発信されていても、それだけで本物だと判断しない方がいいだろう。企業の公式サイトやニュースページ、報道機関の記事など、別の情報源でも内容を確認したい。投稿された直後であれば、続報を待つことも有効な対策になるはずだ。
クリッピーにしてもカイルくんにしても、かつてのOfficeアシスタントは厄介者扱いされた存在だ。だが、「ウザい」とからかわれ、「消えろ」とまで言われていた頃に比べれば、今ではユーザーの見方も、以前より好意的になってきている気がする。
今回、乗っ取り犯が便乗したかったのも、そうしたユーザーの「懐かしい」「復活してほしい」という気持ちのはずだ。もちろん、だからといって、怪しい暗号資産の宣伝役として利用されていいわけではない。
あまり知られていないかもしれないが、実はカイルくんは、「Windows 11」向けの日本語入力システム「Copilot Keyboard」のAIキャラクターとして華麗に復活を遂げている。
どうせならMicrosoftは今回の件を逆手に取り、クリッピーも公式に復活させて、再び広く活躍させてみてはどうだろうか。
上司X: Microsoftの公式Xアカウントが乗っ取られ、昔のOfficeアシスタントのクリッピーを題材にした暗号資産の宣伝へ使われた、という話だよ。
ブラックピット: クリッピーといえば、日本でいうカイルくんの仲間ですよね。公式Xアカウントに出てきたら、つい「本当に復活する!」と思ってしまいそうです。
上司X: そこが狙いだったのだろうな。「50万いいねで復活」という投稿なら、暗号資産トークンの宣伝と気付かれる前に、懐かしいキャラクターの話題として広まりやすい。
ブラックピット: 実際のところどれだけ「いいね」があったんでしょう?
上司X: 公式な最終結果は公表されていない。ただ、第三者のXミラーに残る記録では、約2000件の「いいね」がついていたようだ。犯人たちの目標には遠く及ばなかったものの、当該ポストは約6万6000回表示されていたというよ。
ブラックピット: おお、「いいね」はそれほどでもないですけど、ポスト自体は意外に閲覧されていたようですね。
上司X: そのようだな。でも、あの謝罪投稿までなりすましだったっていうのはなあ。暗号資産トークンの名前を広めて、関心を集めたり価格をつり上げたりしようとしたのだろう。もはや真相は闇の中だが……。
ブラックピット: 実際、「$CLIPPY」を名乗る暗号資産は存在するのですものね。乗っ取り犯にとっては、バズらせることでその名前を広めることができたということでしょう。僕はOfficeアシスタントなら冴子先生一択ですから、どのみちクリッピーについてはスルーでしたけどね!
上司X: キミは、Officeアシスタントの話題になると必ず冴子先生を推すな~。まあ俺もそうだけど(笑)。とにかくだ、SNSで暗号資産を勧めてくる投稿っていうのは詐欺の手口として定番だからな。たとえ大企業の公式アカウントだったとしても安易に信じるべきではないというのは間違いないだろうな。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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