これまで何の問題も起きていなかった就業規則に実は大きな落とし穴が潜んでいる場合がある。例えば、以下に挙げる事項は実際に社労士事務所への相談が多い項目だ。
営業担当者は営業手当があるため、残業代は支払う必要はない
これは間違いだ。そもそも営業手当とは何かを定義し、そこに残業代も含むのなら、「何時間分の残業手当も含む」という点を明文化する必要がある。
管理職になり労働組合からも抜けたため残業代がつかなくなったので、実質的な給料は減ってしまった
以前はこのような「名ばかり管理職」が多くいたが、これももちろんNGだ。いわば高度経済成長期の悪い名残であり、本来は管理職になっても残業代は当然つく。
年俸制の従業員には残業代を支払わなくてもいい
こちらも思い違いで、契約書の中には年間の労働時間が明記されている。それを超えた場合には当然、割増賃金を支払う必要がある。
このような思い違いをしていると、いずれ大きなしっぺ返しを招くことにもなり兼ねない。自社の労務管理を見直してみることが重要だ。
意図的ではないにせよ、正規の時間外労働に対して割増賃金を支払っておらず、それが積み重なって万一発覚した場合には、自社の存続を左右しかねない金額を支払わなければならなくなるケースがある。実際に労働基準法違反のサービス残業が告発され、総額で数十億円の未払い残業代の支払いに迫られた企業の例もある。
今回の取材では、残業代の未払いについて「“多いところは本当に多い」という話を聞くことができた。もし未払いが発覚した場合、一般的には2〜3カ月前までさかのぼって状況を把握し、きちんと支払いを済ませば済む。悪質な場合には、過去2年間会社を辞めた人間まで含めてチェックすることが求められるという。繰り返しになるが、まずは適正な労務管理を行い、従業員の勤怠時間をきちんと把握することが重要だ。
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