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残業代未払いにメンタル不全、勤怠管理が企業に必要なワケIT導入完全ガイド(2/4 ページ)

» 2014年06月09日 10時00分 公開
[西山 毅レッドオウル]

従業員の勤怠時間を正確に把握する

 時間外、休日、深夜労働に対する賃金を支払わなければ、労働基準法違反となる。従業員が企業を訴えるのも、みなし残業など本来の労働時間に対する正当な賃金が支払われていないからだ。

 まずは就業規則などを整備する。次に具体的な取り組みの第一歩として、従業員の勤怠時間を正確に把握する。現在の働き方が多様化にも対応できる仕組みが必要だ。

多様化するワークスタイルへの対応

 今日の勤怠管理システムでは、勤務体系をキメ細かく設定し、多様な雇用形態や業種特有の管理に対応した製品が提供される。例えば、図2に示す画面では、「正社員」といった勤務体系ごとに勤務時間の時間帯や時間数などを設定でき、残業時間を計算する際にも「退出時間が18時30分以降であれば、残業として扱う」といった条件を付加すできるようになっている。

 また、図3の画面では、直行や直帰で出退勤の時刻を打刻できない場合に備えて「みなし時刻」を設定できる。直行や直帰の理由を入力すれば、事前に登録しておいたみなし時刻を基に勤務時間を自動計算する。

勤務体系の登録画面例勤務体系の登録画面例 図2 勤務体系の登録画面例<その1>、図2 勤務体系の登録画面例<その2>(出典:オービックビジネスコンサルタント)

休日、休暇の柔軟な設定

休日、休暇の設定画面例 図4 休日、休暇の設定画面例(出典:オービックビジネスコンサルタント)

 従業員のメンタル不全につながる大きな要因の1つが長時間労働だ。そうした状況では有給休暇を取得することもままならないが、昨今のメンタル不全の増加を受けて企業側の対応も変化している。

 従来は取得されなかった有給休暇は年に1回、お金で従業員に還元するのが一般的だったが、今では本来の休みとして「どんどん取得しなさい」という指導に移っている。勤怠管理システムにも、多彩な休日や休暇を設定できる機能が備わっている。

 例えば、有休付与日数表を登録することで、「勤続年数」で有休の付与日数が変動する一般従業員だけでなく、「勤続年数+年間所定労働日数」で付与日数が変動するパートタイマーにも対応できる。

コラム:メンタル不全の予兆を早期につかむ、休職者を出さない組織づくり

 パワハラにセクハラ、業務過多に不適切な人事配置や評価など、従業員がメンタル不全に陥る原因は多々考えられるが、管理者は適切なマネジメントをもって部下がそうならないように注意する必要がある。

 これらの課題に対して、従業員が打刻している出退勤などの勤怠管理データを従業員個々の人材情報と連携させ、見いだされる相関関係から、メンタル不全で休職する予兆を導きだせるサービスを提供する企業もある。個々の従業員への適切な対応が可能となり、メンタル不全を未然に防ぐ組織体制の構築を目指すことができる。

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