多様な労働形態が当たり前になってきた現在、正確な勤怠時間を管理するためには、各従業員がストレスなく、出退勤時間を打刻できる環境を用意する必要がある。そこで、各現場に対応したインプットの仕組みを提供することが求められる。
例えば、小規模企業がコスト面や運用の手間を考えて、自社にはクラウドサービスの利用が最適だと考えたとしよう。その際には通常、打刻はWebブラウザを介して行われることになる。
全ての従業員がオフィス内で勤務し、1人1台のPC環境を有しているなら問題はないが、その会社に工場があり、打刻用の機器を屋外に設置しなければならないという事情があれば、故障が多くて使いものにならないといった事態に見舞われる。これは今回の取材で、実際に聞くことができた話だ。
実際に現場で打刻用機器の故障に対応した企業によると、屋外に設置された機器は雨風や砂などが原因で故障することも少なくないという。特に冬季など寒い時期は、機器の中が温かいため、虫などが入り込んでしまい、故障につながる。
このように機器設置場所の選定も勤務時間の正確な把握のためには重要だ。屋外での従業員の勤怠管理には、設置場所のノウハウがあり故障時の対応が手厚い企業を選定するとよいかもしれない。
ここ最近、中小企業における人事管理システムの導入が増えている。せっかく導入したので、従業員の異動や昇格などもルールを決めた上で、システムを使ってきちんと管理したいという動きにも表れている。
こうした発想は労務管理にもつながる話だ。従業員の残業はどれぐらいで、それを給与にどう反映させていくのかといった連携までが視野に入る。別の見方をすれば、現在の勤怠管理システムは、単に正確な勤怠時間を取得するだけでなく、異動や昇給、あるいは給与計算に利用するためのデータを、人事管理システムや給与管理システムにアウトプットする役割を担っているといえる。他システムと柔軟な連携ができるかどうかは、重要なチェックポイントだ。
工場や飲食店舗、あるいはコールセンターや病院などではシフト勤務がある。またIT部門にも夜間保守のため、夕方から出勤するといった働き方がある。
こうした場面で企業は、キメ細かな勤務表を作成する必要があるが、現在の勤怠管理システムでは、効率的な勤務表の作成を支援する機能を提供する。これによって、長時間の勤務や変形労働時間にも対応した勤務計画表を簡単に作成すできる。必要な人数が不足している場合にはアラームを出すので、修正すべき勤務計画をすぐに特定することも可能だ。自社内にシフト勤務を抱えている企業にとっては、非常に有用となるものだ。
労務管理に関わる勤怠管理システムは、法改正の影響を大きく受ける。重要となるのは、何かしらの法改正や環境変化あったときに、迅速に対応できるかどうかだ。
図6に示す画面では、法改正に対応するためのモジュールをダウンロードしたり、あるいは分からないことをサポートセンターに問い合わせたりすることを、1つの同じユーザー画面内で行える。ダウンロード用のサイトを別途立ち上げる手間も必要ない。
また、サポートセンターに問い合わせた内容も蓄積されるので、新たな問い合わせを行う前に、過去のやりとりをFAQとして参照できる。これによって、問題解決までの時間を大幅に短縮できる可能性もある。導入後のユーザーフォローの仕組みがどれだけ充実しているかも、十分に精査しておく必要がある。
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