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日本ロボット産業の巻き返しが期待できる「ISO 13482」とは?5分で分かる最新キーワード解説(3/4 ページ)

» 2014年09月03日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

安全性検証のための試験設備とは

 ISO 13482に結び付く日本からの提案がISOに受け入れられた大きな理由の1つが、生活支援ロボット安全検証センターの存在だ。実際に安全性試験が幅広く実施可能な施設と設備があることが大きな説得力となった。同センターには、次の18の試験設備がある。

走行試験関連エリアの設備

多目的走行性試験路、傾斜走行性試験路、環境認識性能試験装置、ロボット走行状態模擬装置、3次元動作解析装置、障害物接近再現装置

 このエリアでは平らなスペースや傾斜した床を使い、ロボットが安全に走行できるかどうかを試験できる。天井部分には試験対象の動作を撮影するカメラが設置され、ロボットの動きの記録と解析が行える。また、人工太陽光や電灯、ストロボなどの光の中でも人を正確に認識できるかどうかなどの環境認識性能も調べられる。

天井に設置されたカメラ傾斜走行性試験路 (左)図4 天井に設置されたカメラ(右)図5 傾斜走行性試験路(出典:NEDO)

対人試験関連エリアの設備

衝突安全性試験機、静的安定性試験装置、人体ダミーとダミー検定装置

 ここではロボットが衝突したり、転倒したりした場合の安全性や限界性能がテストできる。衝撃センサーが内蔵された人体ダミーも利用可能だ。

衝撃センサーを内蔵した人体ダミーと、測定器としてのダミーの衝撃応答特性検定のための装置 図6 衝撃センサーを内蔵した人体ダミーと、測定器としてのダミーの衝撃応答特性検定のための装置(出典:NEDO)

強度試験関連エリアの設備

複合環境振動試験機、衝撃耐久性試験機、耐荷重試験機、装着型生活支援ロボット耐久試験機、ベルト型走行耐久性能試験機、ドラム型走行耐久性能試験機、重心移動制御装置、装着型生活支援ロボット強度試験機

 ここには、衝撃、荷重、走行、人体装着や人間操縦の場合の耐久性や強度などをテストする装置がそろう。大型コンテナほどのサイズの複合環境振動試験機は世界でも有数の装置で、高低温、高湿度、振動を組み合わせた環境を作り出せ、ロボットが過酷な環境でも正常に機能できるかを試験できる。

複合環境振動試験機衝撃耐久試験機 (左)図7 複合環境振動試験機(右)図8 衝撃耐久試験機(出典:NEDO)

EMC試験関連エリアの設備

電波暗室

 電波を完全に遮断した部屋で、内部でロボットに電波を照射して動作変化をチェックしたり、ロボット自身が出す電磁波を測定したりできる。

電波暗室の内部電波暗室の扉部分から見た電波吸収材 (左)図9 電波暗室の内部(右)図10 電波暗室の扉部分から見た電波吸収材(出典:NEDO)

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