セキュリティを確保し、管理負担を軽減するVDI。導入時のイニシャルコストが大きな負担になっていたが、月額料金で仮想デスクトップ環境を実現できる「DaaS」が市場を拡大中だ。
PCにデータを保存することなく個人のデスクトップ環境を提供できるため、セキュリティを確保しながらIT担当者の管理負担を軽減するソリューションとして注目されているVDI。一方で導入時のイニシャルコストの高さが、企業にとっては大きな負担になるという課題もある。そんな中、昨今、月額料金で仮想デスクトップ環境を実現できる「DaaS」が市場を拡大している。今回の特集では、デスクトップ仮想化を実現する1つのソリューションとしてのDaaSに焦点を当てる。
DaaS(Desktop as a Service)とは、エンドユーザーが利用する仮想デスクトップ環境を、インターネットなどを経由してクラウドサービスとして提供するものだ。ユーザーは、サービス事業者のクラウド上に移植されたデスクトップ環境を、PCやタブレット、スマートフォン、あるいはシンクライアントやゼロクライアントから月額料金で利用できる。
サービス事業者がDaaSを提供する形態は、大きく3つに分類できる。順番にプライベートクラウドDaaS、バーチャルプライベートクラウドDaaS、そしてパブリッククラウドDaaSだ。
1つ目のプライベートクラウドDaaSは、オンプレミスで仮想デスクトップ環境を構築するVDIとほぼ同じ使い勝手のもので、仮想デスクトップ環境の構築先が自社内ではなく、サービス事業者のデータセンターになるというものだ。構築された環境はその企業専用のものだが、課金形態としては月額モデルなので、莫大な初期コストが発生するわけではない。
次にバーチャルプライベートクラウドDaaSは、サービス事業者が自身が提供するIaaSもしくはPaaS上に仮想デスクトップ環境を載せて提供するもので、一部占有、一部共有という形になる。
そして3つ目のパブリッククラウドDaaSはその名の通り、アプリケーションも含めたサービス事業者のITリソースを複数のユーザー企業で利用する形態のものだ。
ただし現在のユーザー企業における仮想デスクトップ環境の実現形態としては、オンプレミスがまだ95%を占めており、DaaSについては、プライベートクラウドDaaSから徐々に広がってきているというのが現実のようだ。
次に仮想デスクトップ環境を実現する際のインフラ形態についても、簡単に触れておこう。大きく4つに分類でき、SBC(Server Based Computing)、Server VDI、VDI、HDI(Hosted Desktop Infrastructure)となる(図4参照)。
SBC(Server Based Computing)は、サーバOSを複数ユーザーで共有し、処理した結果を端末に画面転送する方式である。HDIは1台のブレードPC上で1つのデスクトップ環境を構築し、ブレードPCをサーバ上で集約し、端末に画面転送する方式である。VDIとServer VDI(クライアントOSの替わりにサーバOSを使用するもの)は、仮想化技術をベースに複数のVMを構築、動作させている。つまり、以上の4方式においては、物理的なリソースを論理的な単位に細分化、あるいは集約化してそのリソースを動的に再配置し、柔軟性や信頼性を向上させている。これらを「仮想化」と捉えてほしい。
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