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» 2015年06月29日 10時00分 公開

DaaSはVDIの新潮流となるか?IT導入完全ガイド(3/3 ページ)

[西山 毅,レッドオウル]
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現在のデスクトップ環境の利用状況を洗い出す

 DaaSの導入目的として一番分かりやすいのは、OSのサポート切れやクライアント端末のリース切れで、実際に「来月すぐに導入したい」とベンダーに要求してくるユーザー企業もあるという。しかしユーザーのデスクトップにはさまざまなアプリケーションが搭載されており、また使い方もユーザーによって異なってくる。現在自社にはどんなユーザータイプが存在し、どんな使い方をしていて、この先、どれだけのスペックやアプリケーションが必要となるのかを明らかにした上で導入しなければ、提供されるサービス内容に業務を少なからず合わせる必要のあるDaaS利用において、最大限のメリットを享受するのは難しい。

 特に大企業のIT部門では、地方の支社や拠点でどんなデスクトップ環境が利用されているのかを把握し切れていないケースが往々にしてある。それを知らないまま、全社プロジェクトとしてDaasを展開した場合、セキュリティ上、使用を禁止したUSBメモリを拠点では利用しなければ業務が遂行できないという事態も発生しかねない。

 あるいは逆にセキュリティ確保と運用負荷の軽減を目的にDaaSを採用したにもかかわらず、エンドユーザーから「USBメモリが使えなければ不便」という声が出たためにそれを認めてしまうと、本来の目的が達成されなくなってしまうことになる。

 現状の見える化に当たっては、IT部門だけで完璧な現状把握をするのはなかなか難しい。ユーザーPCにエージェントをリモートで入れて調査するソフトウェアもあるが、外部のSIerやサービスベンダーの業務コンサルティングなどを仰ぎながら、デスクトップ環境の利用状況を洗い出すことが肝要だ。

ネットワーク環境をチェックする

 DaaSを利用する際のネットワーク環境としては、専用線やインターネットVPNなどが挙げられるが、ここで一番の問題となるのが「既存システムとの接合性」だ。例えばDaaSの外にファイルサーバがあり、そこにアクセスする必要があるという場合、既存のネットワーク環境が脆弱(ぜいじゃく)だとレスポンスタイムの低下を招き、エンドユーザーの業務効率も低下してしまう。

 この点でも導入時の業務コンサルティングは重要で、どんなネットワーク構成を採り、どのようにサーバを立てて、業務アプリケーションをどのドメインに置いて、というビジョンを明らかにしておく必要がある。

 またDaaSとエンドユーザー間においては、サーバでの処理結果を画面転送でエンドユーザーの端末に転送するだけなので、それほど帯域を使うものではないが、社内のLAN環境、特に無線LAN環境を利用する際には、どれぐらいの帯域が必要になるのかを事前に十分チェックしておく必要があるだろう。場合によってはネットワークポリシーを定義して、帯域制御などの施策も併せて考えることが求められる。

サービス導入によるコスト削減効果を明確にする

 DaaSの導入効果としてまず挙げられるのがコスト削減だが、前段でも少し触れたように、DaaSの利用コストは(利用者数 or 利用台数)×(利用期間)で計算され、利用期間が長くなればなるほど、運用コストは大きくなっていく。そのためオンプレミスと比べて、一概にコスト効果が期待できるというものではない。

 まずは可能な限り、長期的なビジョンを立て、利用年数と必要とするスペックの進化を勘案して、オンプレミスとDaaSとのコスト比較を行うことが求められる。

 ただし例えばDaaSをワークスタイル変革のための1ソリューションと位置付けたときには、オンプレミスとのコスト比較だけがDaaSの選定要因になるわけではないだろう。利用年数を考慮した結果、もしオンプレミスの方が安くなるという試算結果が出たとしても、DaaS利用による業務効率の向上や運用負荷の低減、そしてそれに伴う担当者のスキルシフトなど、目に見えない部分のコスト効果の方が大きくなるかもしれない。コスト削減という視点だけでなく、そういった投資対効果も視野に入れ、外部コンサルにも相談しながら、定性的な効果を見える化する工夫が必要だ。

自社の必須要件を前提に、DaaSのサービスメニューをチェックする

 クラウドサービスとして提供されるDaaSを利用する場合、自社の求めるデスクトップ環境をそのまま再現できるかどうかは分からない。そこでまずはスペックやセキュリティレベルなど必要最低限の要件を整理し、許容できる範囲を明確にしておくことが必要だ。ただし最近では図7でも紹介したように複数のサービスメニューが提供されるようになっており、かなり自由度の高い選択ができるようになっている。

 またDaaSの利用開始直後は、エンドユーザーから使い方や機能などについての問い合わせが発生するので、IT部門に余力がない場合には、そうしたヘルプデスク対応までサービスベンダー側で吸収してもらえるのかなども確認しておいた方がいいだろう。

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