アプリで利用する画像や動画など、各種ファイルを保管し、アップロードやダウンロードができる機能。URLによるファイル公開機能や削除ファイルを一時的に保持するゴミ箱機能などをサポートする場合がある。
サーバ側への操作でコンテンツの変更などを簡単に行うことができ、変更がアプリにすぐに反映するように作り込める(図6)。
モバイルデバイスのGPS情報を利用して、地図の表示などの機能を使いやすくする。ナビゲーションアプリや、O2Oマーケティング、店舗情報提供など、さまざまな目的のアプリで利用できる(図7)。
アプリがコンテンツをダウンロードする際に、特定の位置に対して最も近い位置情報が登録されているクラスまたはオブジェクトを読み出すようにすれば、ユーザーの現在位置に近い店舗情報やそのクーポン情報などをうまく表示することができよう。
これが今、一番注目度の高い機能だ。モバイルデバイスにPush型で行う「通知」機能は、基本的にiOSならAPNs、AndroidならGCMという各プラットフォームベンダーのサービスを利用することになるが、mBaaSユーザーなら両方とも実装に手間をかける必要がなくなる。
サービスによっては、コントロールパネルからのメッセージ入力と配信対象選定、配信時間の指定などを行えば、各デバイスに適時に通知が配信される(図8)。Androidでは通知が目立たない場合があるが、それを画面中央に表示させる機能、あるいは端末の全画面を使って表示させる機能を持つサービスもある。
Push通知と結果分析に特化したサービスもあるが、現在のところはmBaaSの方がコスト面で優位性があるようだ。ただし分析機能は限定的なので、何を重視するかで選び分けが要るだろう。
Push通知を上手に使えば、例えば次のようなことが可能になる。
コンテンツ提供型アプリの場合
コンテンツの更新があったらその都度ユーザーに通知する。図9のようにコンテンツ更新時に、その内容をmBaaSに橋渡しするプログラム(Web Hook)さえ作れば、更新と通知が同時に行えるようにでき、運用負荷は大きく軽減する上、ユーザーのアプリ利用頻度を上げることも可能。
ソーシャル型アプリの場合
利用者間でのPush通知機能が使える。送受信にかかわるユーザーやグループ管理、利用者同士の通知機能実装などに手を煩わすことなく、利用可能。
無料アプリの場合
アドネットワークからの広告を、開封率が高いユーザーに向けてPush通知する。特定日時に大量一斉配信する必要があるが、対象ユーザー選定や配信設定が簡単にできる。
事例1
あるTV番組表アプリでは、約2000万ダウンロードされているアプリに毎朝番組表をPush配信していたが、それに要する時間は4時間にのぼっていた。mBaaS導入以降は同じ配信作業が1時間で終了するようになり、400%の効率化が行えた。安定性にも満足している。
事例2
小売店舗内でユーザー間通知機能を利用して担当者同士の連絡に利用。また保険代理店と外交スタッフ間でのグループ間通知として利用している企業もある。さらに、勤怠管理アプリの基盤としてもmBaaS機能が利用されている例がある。
モノのインターネットとして今注目の「IoT」。無線LANで調光できるLED装置や情報家電が増えていくと見込まれ、特に健康関連の計測を行うウェアラブルデバイスもこれから実用的な製品が続々登場することになるだろう。REST APIをはじめとする標準的技術がIoTでも利用されることが予想されており、mBaaSはデータ収集、保管、分析のプラットフォームとして有望だ。
また健康情報などアプリのエンドユーザーの機密に属することは、アプリ提供側でもデータ保有はしたくない。クラウド上に機密データを保管でき、アプリ提供側企業では閲覧できないように設定することも可能なmBaaSなら、プライバシー保護の面でも安全な仕組みが作り込みやすい。
既に体重や心拍数などをセンサーデバイスで計測、ユーザーごとの体重推移など分析データをスマートフォンなどに配信するサービスが登場している。mBaaSは、企業内にセンシティブな情報を保有したくない企業にも好適だ。
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