企業のIT活用によって、業務の効率化とリードタイムの短縮が進んでいる。例えば、一般的な書類の多くはデジタルデータとして作成され、そのまま処理が行われている。しかし、紙で発行された領収書や契約書といった「税務関係書類」の電子化は遅々として進まなかった。
これを阻んでいたのが「電子帳簿保存法」によるスキャナ保存の厳しい要件だ。ところが、平成27年度税制改正の大綱でこの方針が大きく転換。2015年9月30日に施行された同法の改正により、スキャナ保存のハードルが一気に下がった。
本稿では、今回の規制緩和が企業にもたらすメリットと、税務関係書類の電子化への対応ポイントを解説する。
これまで領収書や契約書といった税務関係書類のスキャナ保存による電子文書化がなかなか進まなかった理由はさまざまだ。いざ紙からデータへの変換に取り組もうとすると次のようなカベが立ちふさがったのだ。
ファイリングキャビネットが書類で圧迫される一方だ、不要な書類は整理したい。こう考える企業は多い。だが、電子保存を進めようとすると「本当に紙の書類を捨ててしまっても構わないのか。よく分からない」という“カベ”に突き当たってしまう。
例えば「○年間保管すること」と決められた書類を電子化しようとする際、その根拠が社内規定によるものなのか、法律によるものなのかが分からない。その結果、紙で残すべき書類と捨てても構わない書類との分類ができず、「ヘタに手を付けない方がいい」となってしまっていた。
2つ目の“カベ”は、「紙の書類をスキャンするメリットが分からない」というものだ。コスト削減の手段として「紙を捨ててデータで保管すれば倉庫代が不要になる」という話をよく聞く。
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