このようなメンタル不調者の増加による悪影響が顕在化したのは昨日今日の話ではない。2010年には自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム(厚生労働省)により「職場におけるメンタルヘルス対策」が重点事項として指摘された。
その後、2020年までにメンタルヘルス対策を行う職場を100%にすることが目標に掲げられ、紆余(うよ)曲折を経ながらも2014年6月に「改正労働安全衛生法」(以下、改正安衛法)が成立した。その目玉の1つが「ストレスチェックの義務化」だ。2015年4月に省令、ガイドラインの公表が行われ、5月にマニュアル等が公開された。そしていよいよ来月、2015年12月1日にはストレスチェック制度が施行される。
ではここからは、本制度の基本的なポイントをQA方式で紹介していこう。
労働者のメンタル不調の未然防止が大きな目的。そのために
が改正安衛法で求められた。(1)(2)が会社の義務となり、(3)は努力義務とされている。なおストレスチェックの結果が従業員の不利益につながらないような工夫もされている。
年1回のストレスチェック実施が会社の義務となった。法制後の1回目のチェックは、遅くとも2016年11月30日までに実施しなければならない。
従業員50人未満の事業場では、ストレスチェックの実施が努力義務とされている。
全ての労働者に対してメンタル状況に関する「職業性ストレス簡易調査票」のチェック項目への回答を求め、その結果高ストレスと判定された対象者に、医師や専門家の面接指導を受けてもらうようにするのが基本的な仕組み。チェック項目は国の標準として57項目が推奨されており、最低でも23項目が求められる。企業独自の設問を追加するなど工夫を加えることも認められている。
なお、ストレスチェックを受検するか否か、結果判定を受けて面接指導を希望するか否かは労働者個人が自身で決める。
プライバシーに配慮し、チェックの実施者は会社の従業員ではなく、医師または保健師および一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士とされ、産業医または産業保健活動に従事している医師が望ましいとされている。ただしチェックにまつわる調査票の回収、集計、入力、受検者との連絡調整等の事務作業は会社が選定した実施事務従事者(人事権に関与しない従業員など)が行うこともできる。その作業の大部分はITツールを利用して効率化することも可能だ。
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