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» 2015年11月18日 10時00分 公開

4Gの先にある世界、体感スループット100倍を目指す「5G」とは?5分で分かる最新キーワード解説(3/3 ページ)

[土肥正弘,ドキュメント工房]
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「5G」は何をもたらすのか

 「5G」の効用は何かといえば、まずは無線ネットワークの逼迫(ひっぱく)を避け、どんな時間帯でも、どんなにユーザーが密集して同時接続する環境でも、快適に通信が行えることだ。スマートフォンなどの個人用デバイスだけでなく、これから膨大な数に増加するIoTデバイスも、常時高品質でリアルタイム通信できるようになるだろう。

 アプリケーションの面から見れば、特に自動車の自動運転の基盤になることが期待できるだろう。また、ウェアラブルデバイスの通信を利用した生体情報の高度な利用も有望な領域だ。

 例えば、ドライバーの体の状態や表情などの情報をウェアラブル端末で計測し、分析用のシステムを備えたクラウドサービスに常時送信、分析結果のフィードバックをほとんどリアルタイムに受け取ることなどもできるだろう。ドライバーが眠気を催したら、その兆候を検知し、車載のAIロボットが目をさますためのケアを行ったり、安全な自動走行に切り替えたりできるようになるかもしれない。

 また、高臨場感や高精細の映像や音響を利用したサービス、例えばユーザーが自由に視点を変えて観戦できるスポーツ中継や舞台公演中継、ARやVRアプリケーションも自由に楽しめるようになりそうだ。その他にも、インテリジェント家電の遠隔制御や、交通管制、工場や施設のメンテナンスや最適化にも役立つはずだ。

 このようなアプリケーションはネットワーク性能が一定以上に高く、安定していなければ利用が難しい。スマートフォンやモバイルPCなどによるこれまで同様のデータ通信の増加に耐えるのは当然の前提、その上でこうした新サービスが実現でき、快適にその豊かさを享受できるようにするのが5Gの役割だ。

 5Gの実証実験は多くの主要キャリアやベンダーなどが協力して行っており、今後はその成果が続々と報告されるだろう。例えば、NTTドコモは2015年2月に屋外で15GHz帯の高周波数帯を用いて受信時4.5Gbps以上のデータ通信に成功した。今後も各社、各機関が共同して新たな技術検証を行うはずだ。プライベートやビジネスへの応用をにらみながら、成り行きを注視したい。

関連するキーワード

Massive MIMO

 MIMOは無線LANアクセスポイントでも利用される技術なので、ご存じの人も多いだろう。複数のアンテナを利用して伝送速度を向上させる技術だ。無線LANの場合、従来のMIMOは数本のアンテナを利用するが、5G実現を目指すためのMassive MIMOでは、数百本のアンテナの実装が考えられる。

 また、各アンテナの信号を制御して、特定の方向に電波を強めて送信できるので、単一アンテナの場合よりも遠くまで電波を届けられる。電波の伝達距離が比較的短い高い周波数帯を利用する場合には不可欠な要素だ。

「5G」との関連は?

 高い周波数帯では電波が遠くまで飛ばないのが弱点だが、電波伝搬を助けるMassive MIMO技術により、基地局の数が限定されていても低コストに広いエリアをカバーできるようになる。

LTE‐Advanced

 国際標準化プロジェクト3GPPが2011年に発行した移動通信の標準規格。「3.9G」と呼ばれたLTEをベースにさらに拡張し、高性能化を図ったシステム。現在では、LTEも4Gと呼ばれているが、本来の4Gの要求条件を満たすことができる真の4GはLTE-Advancedの方だ。

「5G」との関連は?

 同時に複数の搬送波を使って通信を高速にする「キャリアアグリゲーション」や、広域基地局(マクロセル)のカバーエリア内に、狭いエリアを担当する「スモールセル」を複数設置して品質を確保する考え方や技術が5Gにも拡張して利用できると考えられる。また、5Gをスムーズに展開するために、LTEやLTE-Advancedと密に連携して5Gを運用できるようにすることが求められている。

3GPP(Third Generation Partnership Project)

 国際的な移動通信ネットワークの標準化プロジェクト。W-CDMAとGSMコアネットワークをベースとした3Gの標準化を進めるプロジェクトだったが、HSPA、LTEおよびLTE-Advancedの仕様決定に際しても関与しており、5G仕様についてもこれから国際標準化のための議論が始まる。

「5G」との関連は?

 2015年から5Gに関する作業スケジュールが議論され、9月のワークショップで5Gに関する意見ヒアリングが行われた。高周波数帯の無線伝搬のモデル化の議論は既に始まり、5Gのユースケースや要求条件に関する検討は2015年末に始まる見込みだ。

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