高齢者や障害者、病気の人などを対象にしたケアサービスも重要な社会インフラの一部だ。これには日常生活に組み込まれた各種のヘルスケア機器に備わるセンサーが収集する情報を、無線でつながるスマートデバイスなどがセンターに送信、異常がないかどうかを確認可能にし、必要があれば家族や介護サービス事業者などが対応できるようにアラートや通知を行う仕組みなどが考えられている。もちろん同じ仕組みで日常生活の状況をリアルタイムにモニタして「見守り」に活用することもできる。
収集する情報は、体温、心拍、血圧、体重、体脂肪率などの一般的な計測器からのデータだけでなく、脳波、心電、筋電、あるいは歩行や運動状況、移動状況、寝たきりの場合のベッド上での寝返りの状況など、各種のセンサーが利用できる。
アミューズメントパークやショッピングモールなどで子どもの迷子や危険場所への立ち入りを防止することもIoTのソリューションの1つだ。これには子どもが身につけることができる計測デバイス(加速度センシングや位置計測を可能にするデバイス)を使い、子どもの動きや位置情報を、施設のマップなどの情報と突き合わせて把握し、現在地の特定や移動状況をモニタすることが考えられている。施設の従業員や保護者が手元のスマートデバイスなどで地図上の子どもの位置を確認し、必要なときには子どものいるところまで行って保護や案内などの対応を行うことができる。
以上、社会インフラに関連するIoTユースケースを幾つか見てきたが、全てセンサーやカメラなどのデバイスからの情報をセンター(IoTプラットフォーム)に集約し、分析や他の情報とのマッチングを行って、現場で必要な情報にして提供する仕組みになっている。
自動化機器と組み合わせて、電力調整や水配管の水流調整などのような自動制御ももちろん可能だ。センター機能はどこにあってもよいのだが、多くの場合はクラウド上にあることを想定している。その方が広範に散らばるデバイスの情報を集めるのに都合がよいからだ。そして、集められたデータはビッグデータ分析技術を利用して分析される。そして分析結果をもとに、社会インフラの適切・効果的な利用を図るのがIoTの真骨頂だ。
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