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M2Mプラットフォームの国際標準「oneM2M」とは?5分で分かる最新キーワード解説(2/3 ページ)

» 2015年12月16日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

「oneM2M」の仕組みとは

M2Mの3階層 図1 M2Mの3階層(出典:NEC)

 M2Mシステムは上位に「アプリケーションレイヤー」、中間に「サービスレイヤー」、下位に「ネットワークレイヤー」の3階層で考えることができる。アプリケーションレイヤーはさまざまな目的に沿って構築され、必要なデータはネットワークレイヤーの各種デバイスから吸い上げられる。その中間で各種デバイスのデータ仕様の違いを吸収して間を取り持つのがサービスレイヤーで、oneM2M標準が規定するのはこのレイヤーで働くミドルウェア的なソフトウェアだ(図1)。

 分かりやすく言えば、アプリケーションレイヤーはアプリケーションサーバのこと、ネットワークレイヤーはセンサーなどのデバイスのネットワークに対応する。サービスレイヤーはその間をつなぎアプリケーションサーバとデバイスに対して共通の機能を提供するプラットフォームだと考えてもよい。ただし、oneM2Mソフトウェアはサーバだけでなく、一部はゲートウェイに、他の一部はデバイス側に実装される。oneM2Mのアーキテクチャを図2に示す。

oneM2Mアーキテクチャの実装イメージ 図2 oneM2Mアーキテクチャの実装イメージ。IN:インフラストラクチャノード、MN:ミドルノード、ADN:Application Dedicated Node(アプリケーション専用ノード)、ASN:Application Service Node(アプリケーションサービスノード)、AE:Application Entity、CSE:Common Service Entity(出典:NEC)

 図のCSEがoneM2Mが規定する共通機能であり、図上部のインフラストラクチャノードがサーバに当たる。ミドルノードは、必要に応じてM2Mデバイスからの情報を集約、加工し、中継するゲートウェイだ。このノードは図下部左のように場合によってはなくてもよい。

 また、アプリケーションだけあれば、共通機能がいらないデバイスもあるし、oneM2M非対応のデバイスであっても共通機能を利用することでそのデータをアプリケーションが利用できるようになる。

 では、共通機能(CSE)は具体的に何をするのだろうか。図3にそれを示す。

oneM2Mが規定する共通機能 図3 oneM2Mが規定する共通機能。CSE:共通プラットフォームを構成するノード、CSF:各機能モジュール(出典:NEC)

 目的別に言えば次のようになる(図中のCSFとは一対一に対応しない)。

  1. データの生成元とその利用者を安全につなぐ
  2. ネットワークの複雑性をアプリケーションに対して隠蔽(いんぺい)する
  3. 通信が発生するときだけ制御を行う
  4. データ通信の効率性を増す
  5. データセキュリティ、アクセスコントロール
  6. データの保存と共有
  7. イベントを通知する
  8. モノのグループとの通信
  9. デバイス管理

 これらはご覧の通り、どんな業界のアプリケーションでも共通に必要になるであろう機能だ。M2Mサービス業者はアプリケーションとデバイスさえあれば、oneM2M仕様のソフトウェアを利用して素早く新ビジネスをスタートできそうだ。もっともリリース1は基本機能が中心の仕様となっており、商用アプリケーションに向けてリリース2での機能追加が期待される。

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