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IoT時代の組織マネジメントで考えるべき「3タイプの移行モデル」KeyConductors(2/3 ページ)

» 2016年01月28日 10時00分 公開
[西山 毅レッドオウル]

接続機能を持つスマート製品は、企業のバリューチェーン全体に大きな変化を及ぼす

 次にガッバイ氏は「接続機能を持つスマート製品は、製品設計や製造、販売、マーケティング、アフターサービスなど企業のバリューチェーン全体に影響を及ぼすもの」だと説明し、「これが二つめの論文の主要部分」だと強調した。

 例えば製品開発部門では、新たな製品設計のアプローチ方法が必要になる。接続機能を持つスマート製品にはさまざまなITが組み込まれており、製品設計の場面ではITと研究開発の連携が進んでいる。そこでは設計業務をシステムエンジニアリングの問題として捉えて、開発作業を進めなければならない。

 また接続機能を持つスマート製品では、ユーザーインタフェースを製品自体に組み込む必要がなく、スマートフォンやタブレット端末でその機能を提供できるようになる。製品の種類についても、例えば農業用トラクターなら1モデルだけを開発し、馬力などの機能は搭載したソフトウェアの設定変更で行うことも可能になる。物理的に複数のモデルを作る必要はなくなり、開発コストの大幅な低減も可能となる。

 さらにアフターサービスを担当する部門も、接続機能を持つスマート製品によって大きな影響を受けることになる。

 「接続機能を持つスマート製品のもたらす影響は、このアフターサービスの領域へのものが一番大きいのではないかと、個人的には考えている」

 接続機能を持つスマート製品から収集されるデータを活用することで、例えばメンテナンス作業の現場で、今後故障が起こりそうな箇所を予測することが可能になったり、現場で持ち回る部品の量を減らすことが可能になったり、さらにはサービスエンジニアを派遣する回数を減らすことができたりするようになる。

 またアフターサービスの領域で大きな役割を果たす可能性があるのが拡張現実(Augmented Realit:AR)と呼ばれるテクノロジーだ。人間が見ている現実の世界に、さまざまな情報を重ね合わせて提供することができる技術で、例えば現場に派遣されたフィールドエンジニアが、手元のタブレット端末をカメラモードにして製品にかざすだけで、前回作業をしたのはいつか、あるいは今後3カ月以内にどんな保全作業をしなければならないかといった情報をディスプレイ上に自動表示させることが可能になる。

 「今後企業は各部門への影響を正確に分析し、その機能を変化させていかなければならない」

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