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シスコのIoT事業が本格化、ファナックやKiiと連携で事業拡大目指すKeyConductors(1/3 ページ)

シスコシステムズは国内でのIoT事業強化に乗り出した。工場で稼働する産業ロボットをネットワークに接続し「ゼロダウンタイム(ZDT)」実現を目指す。

» 2016年01月29日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

 シスコシステムズは国内でのIoT事業強化に向けて、本格的に乗り出した。2016年1月21日、シスコシステムズとファナックは産業ロボットの稼働率向上で協業すると発表した。工場で稼働する産業ロボットをネットワークに接続して稼働状況を解析、故障予知で生産・製造ラインの停止・中断を回避できるようにする「ゼロダウンタイム(ZDT)」が目標だ。

 富士通のNC部門だったファナックは、1956年に民間で日本初のNC装置を開発(NC装置とは数値制御装置のこと。ロボットアームの動作を3〜8軸で数値化、制御することで、正確な場所にねじを挿入したり部品を配置したりすることが可能になる)。

 1972年にNC部門が分離してファナックを設立、その後は積極的に海外展開し、アメリカのゼネラルモーターズやゼネラル・エレクトリック(GE)とも関係が深い。GEを中心とする業界団体「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」の創設メンバーの1社であるシスコシステムズと今回の協業に至ったのも、自然の流れに見える。

 その同社がここ20年間注力してきたのが、「知能ロボット」の開発だ。「ロボット自身が目で見て力を感じ、考える」と説明するファナック専務取締役、ロボット事業本部長の稲葉清典氏は、例として医薬品の瓶を正確かつ適切な圧力でつかみ、高速整列させるロボットや、動作時の振動を抑えて俊敏な作業を実現する機械学習ロボット、人間もいる作業環境で人間がどこかしらに触れるとそれを検知、動きを停止させて事故を防ぐ協働ロボットなどを紹介した。

稲葉清典氏 ファナック 専務取締役 ロボット事業本部長 稲葉清典氏

 知能ロボットのメリットの1つに、チョコ停の軽減が挙げられる。チョコ停とは、部品の劣化で動作にちょっとしたズレが発生して停止するなど、計画的な停止や事故が原因ではない、オペレーターがすぐに対処できる停止状態を指す。だが、発生頻度が上がって慢性化するほどに設備の稼働率は低下し、生産効率のダウンや機会損失などが高まる。

 「自社工場では知能ロボットを導入している。その結果、ロボットがミスを感じて作業をやり直すことが可能となり、チョコ停は従来の10分の1に軽減した。夜間も自動で作業復旧できるのは大きい」(稲葉氏)

 だが、ここで1つの壁があった。それは、10分の1のさらに先へ行けないことだった。原因の1つは、予期せぬ故障によるシステム停止だ。「部品をちゃんと押し込めていないなど、作業自体のミスはロボット自身が確認、軌道修正できる。しかし、ロボット自体のアーム部分が故障したとなると、ロボットは自ら修正できない。人間側が把握し対処する必要がある」と、稲葉氏は説明する。

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