ファナックでは、予想外のダウンタイムは中断1分間当たり平均200万円前後の損失につながると試算する。
こうした事態を防ぐには、どうすればよいのか。稲葉氏はまず、故障予知を挙げた。例えば、ギア部分が2週間ほどで故障することを予知して非稼働時にあらかじめ修理できれば、故障自体を回避できる。また、最悪の場合でも故障原因のドリルダウンを最短で完了し、すぐに復旧できるようにすることも重要と述べた。そして、これらをリモートで監視し、異常時にすぐに反応できるようにする。これらをもって「ゼロダウンタイム」が実現する。
ゼロダウンタイムの機能は、同社ロボットのオプションサービスとして2016年夏に提供開始を予定している。ロボットはセンサーを使って搭載するモーターなどの稼働状況や損耗、工場内の温度などの環境情報を計測し、シスコシステムズのスイッチやルーターを介して工場内のサーバにそのデータを集積する。データは分析にかけ、故障の兆候を検知し、故障前に部品を発注、交換する。
ファナックとシスコシステムズは、米国の自動車メーカーの工場でロボット3000〜4000台を対象に既に12カ月間のパイロットプロジェクトを実施している。期間中、生産設備や産業ロボットのダウンタイムはほぼ100%削減し、総合設備効率は向上したという。
「今後もシスコシステムズとの協業を通じて、止まらない工場を追究していきたい」。稲葉氏は展望を語る。
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