3200台を超えるiPhoneが導入された慈恵医大のICTプロジェクト。後編ではナースセンターでの導入事例を紹介する。
看護師は絶えず動き回っている。ナースセンターを母艦に、ナースコールで呼ばれれば病室に駆け付け、救急措置が必要な場合は医療機器を探しに走る。そんな看護師にとって、病棟のどこにいても呼出しに対して確実に応えられることは重要だ。その手段としてこれまで活躍していたのが、ポケベルだ。
病室のベッドには2種類のナースコール用のボタンが設置されている。1つは一般的な用途、もう1つは緊急用だ。このボタンが押されるとナースステーションに通知が行き、同時に看護師が携帯しているポケベルが鳴った。
しかし、ナースステーションと病室間では会話できるものの、ポケベルでは患者と直接会話できない。看護師は病室にたどり着くまで詳しい状況は分からず、「患者にとってもどのくらいで看護師が来てくれるのか分からず、不安も大きかったと思われる」と、同大看護部、呼吸器内科・耳鼻咽頭科病棟師長の荒木むつみ氏はもどかしさを明かす。
それが今回、ポケベルからスマートフォンに変わったことで、スマートフォンの画面に病室番号や患者名含めて表示される他、患者と看護師とが直接会話できるようになった。「対応までの待ち時間の感じ方は大きく変わったと思う」(荒木氏)
PHS時代は各部署に4台のみ配布されていたが、スマートフォンになってからは10台ほど配布された。スマートフォンには番号が割り振られており、最初の3台は担当主任が携帯し、外部からの通話も受けられるように設定。残りはナースコール専用に割り当てているという。
「現在はナースコールの受信機としてスマートフォンを活用しているが、今後はスタッフ間のコミュニケーションツールとして機能の拡充などを図っていきたい」(慈恵医大 先端医療情報技術研究講座 研究員 畑中洋亮氏)
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