さて、以上の説明からデスクトップ仮想化が従来の物理PC運用環境をどう変えるのかをイメージできただろう。冒頭に掲げた共通課題は、デスクトップ仮想化により次のような形で解決可能だ。
PC管理コスト
社内に大量に分散していたクライアントPCを少数の物理サーバに移行することができ、運用管理を一元化することができて管理工数が減る可能性がある。ただしユーザーの手元のデバイスも管理する必要はあり、PC利用にまつわる運用管理工数は従来のユーザー負担分が管理者側に移行するため、必ずしも削減効果が表れるケースばかりではない。
PCのセキュリティや情報漏えい防止
基本的にユーザー側デバイスに業務データは存在せず、全てサーバ側でデータが保管されるため、情報漏えいリスクを削減できる。バックアップもユーザーではなく管理者側が実行できる。アンチウイルスツールなどはサーバごとに導入すればよいので、PC個別の導入よりも管理負担が減らせる。
システムコストやライセンスコスト
物理PC運用の場合よりもシステムコストとOS、アプリケーションのライセンスコストを削減できる可能性がある。
テレワーク
仮想化ツールに対応するモジュールが導入できるデバイスなら何でも利用できるため、モバイル、出張先拠点、自宅、サテライトオフィスなど、さまざまなワークスタイルに対応可能だ。
災害時の事業継続性
データセンターなどにあるサーバが無事であれば、ある拠点が利用不能になっても他の拠点で新しいデバイスや他拠点のデバイスを借りて業務を再開できる。半面、物理サーバの障害時には物理PC運用ではありえない規模の業務停止も起こり得る。障害対策も設計時に組み込んで、安全を図ることは不可欠だ。
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